- 作者: 池谷裕二,糸井重里
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2002/07/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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衝動買いして一気読み。なんと読みやすい本か。だけど概説書とか啓蒙書とかいう感じじゃないな。あくまで「読み物」。「読み物」がいけない、と言うつもりは毛頭ない(念のため)。糸井氏しゃべりすぎ。まあ糸井氏がたくさんしゃべってくれるから読みやすいのかも知れない。池谷氏の言うことを聞きたければ、さきの『進化しすぎた脳』はじめ、本はいくらでも出ているのだし。
第三章の「ものを憶えられなくする薬」と「頭をよくする薬」がもうできているという話はショックだった。まあそりゃ脳内メカニズムがあそこまで解明されているのであれば、作ろうと思えば作れるんだろうけど。ただし人間に適用する予定はないとのことで、半分ぐらい安心。
いちばんの読みどころは第四章かな?その名も「やりすぎが天才をつくる」。人間の脳は2%ぐらいしか働いていなくて(これだけなら昔っから何度も何度も聞いたような話だが)、そのくらいしか働いていないのにはちゃんと理由がありストッパーがかかっているのだが、どうかするとそのストッパーを外してしまう人がときどき出現するという。そしてベートーベンや手塚治虫の、ものすごい働きぶりが紹介される。それから、朝の9時から翌日の朝4時まで毎日働いて、休みと言えば元旦の一日ぐらいしか休まなくて、食事は15分で、それを24年間ずっと続けて、カゼはもちろんあらゆる病気にかかったことがなくて、彼の産み出す成果は超一流で世界中から評価を受けているが、彼のスタッフは死屍累々という人物の話が紹介される。さあ、誰のことでしょう?
あとラスト近くの池谷氏のこの言葉が、特に印象に残った。
昔の科学は結果勝負なところがあって、ぜんぶを証明してつくりあげたあとにはじめて発表していたんですが、今は仮説のまま公表しちゃうんです。
仮説の発表後に人が寄ってきて、その仮説を証明していくというように、科学全体がプロセス重視に変わっているんです。
(p279)
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