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竹田青嗣『ニーチェ入門』(ちくま新書)

ニーチェ入門 (ちくま新書)

ニーチェ入門 (ちくま新書)

ぶっちゃけて言うと「なんでニーチェが偉いの?」かというと、ヨーロッパ社会が中世から近代へと目ざましい変貌を遂げたにもかかわらず、キリスト教的道徳に代わる倫理体系を構築することができずに苦悩する状況の下で(これはヨーロッパだけの問題ではなく日本その他にもそのまま当てはまる)、体当たり的なっつーか自爆的なっつーか、一つのモデルケースを示して見せたところがエライ!ということなのだろう。ただしそのニーチェの示した「超人」にしろ「永劫回帰」にしろ「力への意志」にしろ(これらの有名なニーチェ語は、例によって竹田氏らしいやりかたでわかりやすく噛み砕いて再提示されている)、あんまり「どうして悪いことしちゃいけないの?」と問う子どもに教えられるようなものではないと思うのだが(←これは結構肝心なことのように思う)。
逆に言うと、政治形態とか法体系とか自然科学とかは、中世から近代への脱皮に比較的成功しているから「哲学上の問題として扱われる」ことも少ないのだろう。
いつものことながら竹田氏が、極力哲学者の言葉を使わずに、できるだけ普通の言葉を使って書いてくれるのはありがたい。ただしデカルト→カント→ヘーゲルという哲学史の流れがp50〜55のわずか5ページでまとめられてしまうと「おいおい?」と思ってしまうし、これは別の本だが竹田氏が永井均氏のことを書いたのに対して、永井氏本人が『〈子ども〉のための哲学』(講談社現代新書)の中で「私はそんなことは言っていない」という意味の苦言を二度にわたり書いていたことも思い出してしまう。「完全な認識は存在しない。竹田氏やドゥルーズやその他の人々によって解釈されたニーチェのみが存在するのである」(←第4章のもじり)ま、自分で読む前に安易に受け売りするのはやめよう、ってことです。
そういえば永井氏もニーチェの入門書を書いていたっけ。読んでみよう。
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