しいたげられたしいたけ

災害時のデマ、絶対ダメ!

斎藤貴男『カルト資本主義』(文春文庫)

カルト資本主義 (文春文庫)

カルト資本主義 (文春文庫)

職業欄はエスパー (角川文庫)』に書名が登場するが、未読だったので読んでみた。
『職業欄はエスパー』とは対照的に、著者のスタンスは限りなく明確である。スプーン曲げはじめとするオカルト現象が実在するか否かは、まるっきり著者の関心の対象外なのである。著者はソニー(第一章)や京セラ(第三章)などオカルト研究をしている有名企業からヤマギシ会(第七章)やアムウェイ(第八章)などはっきりと問題性が指摘されている団体まで取材し、オカルトが個人を所属集団に滅私奉公させる道具として活用される構造を浮き彫りにする。

 ヤマギシのカルト性はしばしば、〝オウムに似ている〟という批判を受ける。取材で会った何人かの村人*1には、私もそう水を向けてみた。すると、彼らの誰もが同じダジャレを返してきた。
「ここにはサリンなんかありませんよ。おいしいプリンならありますが」
 ──〝我執〟を失うと、ダジャレまでみんな同じになっちゃうのかしらん。私は少しおかしくなって、でも、この村の中と外とにどれほどの違いがあるものかと思い直し、すぐに真顔になった。

(本書p391)
これだけだと笑ってしまうかも知れないが、一家をばらばらに引き裂かれた家族(P348〜349)はじめさまざまな異常な事例を読まされたあとでは、笑おうにもに笑えない。

職業欄はエスパー (角川文庫)

職業欄はエスパー (角川文庫)

*1:引用者注:ヤマギシ会員のこと