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竹内淳『高校数学でわかるマクスウェル方程式―電磁気を学びたい人、学びはじめた人へ』(講談社ブルーバックス)

高校数学でわかるマクスウェル方程式―電磁気を学びたい人、学びはじめた人へ (ブルーバックス)

高校数学でわかるマクスウェル方程式―電磁気を学びたい人、学びはじめた人へ (ブルーバックス)

と言う訳で(だからどんな訳だって?)数式のある本を読んでみようと思いつつ、つい手がのびるのがブルーバックスであるというあたり、我ながら情けない。
でもこれは良かったです。クーロン力から始まって、電磁気学という学問草創期のエピソードを織り交ぜながら、マクスウェル方程式(と、ローレンツ力を表す式)という電磁気学の集大成と言える4つの式(プラスワン)にたどり着こうというもの。この目標はp158で達成されるが、筆者の筆はさらに、科学史上に有名なマクスウェルによる「電磁波の存在の予言」(p168〜)と、ヘルツによるその実験的証明(p172〜)、およびそれ以降の電磁気学の応用の爆発的な発展まで描いている。
大学初年度の電磁気学の講義だと、これらの内容を、演習を交えながら半年とかでやるんだろうけど、こうして新書一冊にコンパクトにまとめてもらえると、全体の見通しがよくわかってありがたい。
それにしても、数式というのは、改めて眺めると不思議なもので、例えばほんの一例だけど、本書p90から「アンペールの力」を求める公式、すなわち磁束密度中に置かれた電流が流れる長さの電線に働く力は…
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によって得られるという、たったこれだけの式なんだけど、これが精密な実験を何度も繰り返し行って得られた結論であることを考え、「自然は掛け算をするのだ」というふうに考えると、奇妙な感慨を覚えないではいられない。我々の身の回りは物理法則であふれかえっているのだ。
それから、「まえがき」によると、ニュートンが力学を築いてからマクスウェルらにより電磁気学が今の形に完成するまでかかった時間が2世紀、それから現代まで約100年なのだそうだ。どんな学問でもそうなんだろうけど、草創期は素朴で素人にもわかりやすいが、一旦テイクオフするとあっという間に大発展をとげ門外漢にはわけがわからなくなってしまう。他ジャンルでは例えば相対性理論だと、マイケルソン・モーリーの実験なんかだと素直に理解できる気がするが、一般相対の世界まで足を踏み入れるともうなにがなにやらである。
いらんことだが、この本はまずamazonで注文した。その直後に書店の店頭で見つけ、amazonの方は入荷に一週間ぐらいかかる本と一緒に頼んだから、「amazonはあとでキャンセルすればいいや」と思って購入してしまった。ところがあとでamazonのサイトにアクセスすると「この商品はすでに出荷準備に入っているのでキャンセルできません」という非情なメッセージが表示された。一週間どころかまだ一日しか経っていないのに、話が違うじゃないか(T_T)