🍉しいたげられたしいたけ

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医療現場の医師に限らず我々の仕事はみなサプライチェーンやバリューチェーンのエンドポイントではないかという話

一、二ヶ月前に気づいて、気になるというほどではないが「あれっ?」と思っていたことがあった。個人用ウイルス対策ソフトの名称として、企業横断的に「エンドポイント」という名称が使われるようになっていたのだ。 シマンテック、マカフィー、ESET…。サイバー攻撃はサーバなどネット上のあらゆる経路に仕掛けられるから、「なるほど」な命名ではある。いつからなのかな?

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でもって今回は、「地域医療ジャーナル」の bycomet (id:cometlog)さんの、このエントリーに乗っからせてもらいます。医療のテクノロジー高度化により、医者は検査をオーダーする立場になり、「医療のコモディティ化」が進行しているのではないか、医者にしかできない「癒し」の役割が軽視されていないか、を反省するエントリーです。

www.bycomet.tokyo

「なるほど医療現場のお医者さんは、そういう悩みに直面しているのか」と思う一方で、医師に供給される薬剤は、はるか昔から外部リソース化と高度なテクノロジー化が進行していたのでは、という感想も抱きました。薬研〔やげん〕で自ら漢方薬材(薬剤ではない)をガリガリやるお医者さんなんて、今どきどこにもいませんよね。

 そして、こういう現象は、産業の高度化につれて、あらゆる業種で起きた事象なのではないかと思い当たったので、自分のエントリーにしてみようと考えた次第です。

経営学に、サプライチェーン(供給連鎖網)、バリューチェーン(価値連鎖網)という言葉がある。あらゆる製品は、原材料から最終製品に至るまで、長い長い工程を経ている。その中間製品の供給が、企業の垣根を越えて行われているのが、我々の住む高度に発達した産業社会の特徴の一つである。

パソコンを例にとると、最終製品のパソコンを作るためのマザーボード、メモリ、ハードディスク、ディスプレイ、筐体e.t.c.といった部品は、各メーカから供給され個人でも入手できる。そのうちマザーボードは、LSI、抵抗、コンデンサなどの部品から成り、別々のメーカから供給される。ちなみに企業の垣根を越えてサプライチェーンを管理し物流のムダなどを排除しようというのがサプライチェーン・マネジメントである。

詳述は省略するが、モノ自体ではなく製品の価値(パソコンならコンピュータとしての処理能力、メモリであれば記録能力)が、供給網のどの時点で発生するかに着目して管理を行うのがバリューチェーン・マネジメントである。

専門じゃないので間違ったことを書いていたら誰か突っ込んでください。

自分語りをお許しください。私は新卒で就職するにあたり、「ビルでもジェット機でも東京スカイツリーでも、何でもいいから何かでかい物を作りたい」という漠然とした希望を抱いていた。つか、そういうものをどうやって作るかが知りたかった。

時あたかもバブル前夜で幸い就職状況は売り手市場のさなかにあり、当時としては身分不相応じゃないかと思うような有名企業に就職することができた。

そこで担当したのは、工場用の工作機械だった。かなりデカいものだったので、私の希望は叶えられたと言っていい。

実際にモノづくりに携わった感想は、先のパソコンの例えを使うなら「あっ、これは、マザーボードを買ってきて、メモリを買ってきて、HDを買ってきて…そして製品を作っているのだな」ということであった。

我々の住む社会が高度に発達した産業社会と呼ばれるのは、こういうことであったかと再発見したような気分になって、改めて驚いた。

だけど誤解しちゃいけないなと思ったのは、そうした制約の中でも創意工夫の余地はいくらでもあったし、創造的な仕事はいくらでもできるということだった。

こういうのは工業系に限った話ではなく、医療系に限った話でもなく、別の例としてはニュースキャスターがニュースアンカーと称されることが10年くらい(もっと前?)から多くなった。これは報道が、現地取材から視聴者の目に触れるまで長い長い経路を経ていることを表現しようとしたものだと思う。

bycomet さんの元記事には、医者のなかに学校に戻ってMBAを取得する者が増えていることを残念がる書籍の文章が引用されていました。原著に当たっていないので速断かもしれませんが、これは決して嘆くべきことではないように思います。かつて一国一城の主だった親方たちが供給連鎖網に組み込まれていったような産業構造の変化に対する知見を、医療の現場にも応用してもらえるのであれば、患者の側としてもありがたいことです。

思いつきだけど、制度の側から、そういう産業構造の変化が医療現場にも押し寄せているというこをとアピールする働きかけがあってもいいんじゃないかという気もしてきた。ニュースアンカーが報道に果たす役割が巨大である以上に、医療サービスアンカーである医師が患者にできることは巨大なのだから。まさしく bycomet さんのおっしゃる「癒し手」として。

そしてそういうことって他のジャンルにもあるんじゃないかな? これも思いつきだけど、教師とか。教育内容が高度化するにつれ、学校の先生もある意味サービスアンカー化しているんじゃないかな? それゆえ悩んでいる先生もいるはずだ。自らの仕事を「教育サービスアンカー」と再定義することによって、言葉を変えるなら外部リソースは利用できる限り利用すればいいと考えることによって、楽になる教師は少なくないような気がする。むろん「学級王」なんかであってはいけない。

話を広げすぎたので一介の底辺社会人、底辺ビジネスマンである自分のことに戻すと、常に自分が向き合っている顧客にとっては自分が供給網のサービスアンカーなのだ。それを再認識してGW明けの仕事に臨むことにしよう、と弊ブログにしては珍しく前向きに締めてみる。

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