今回は児童虐待ではなく図書館の話を少し。6月11日付拙記事 に、「実はいちばん好きなのは本であり図書館だったのではないか?」と書いた。本当はもう少し前から自覚していたんだけど、修辞ということでご容赦ください。
思い返すと「寄贈の旅」シリーズで訪れた図書館では、一度も不快な思いをしたことがない。対応してくれた職員さんには感謝しかありません。ここから届くようにも思えませんが、この機会に一言お礼を述べたいと思います。ありがとうございます。
ところで最近こんなホッテントリを目にした。
非正規の学校司書として10年以上働き、 年間約500冊の児童書を読んで読書ノートを作り続けてきたという三十代女性が、勤め先の自治体から突然給与の約半額の減額を伝えられたという記事である。また有給休暇もボーナスも無くなったということだった。いっぽうで仕事の内容は、それまでと変わらないという。
記事から直接読み取れるわけではなく私の想像に過ぎないかもだが、雇う側の「好きでやっているんだろう」「代わりはいくらでもいる」という傲慢な姿勢をどうしても嗅ぎ取ってしまう。低待遇あるいは待遇悪化のホッテントリは、例えば保育士や研究職など関連でも、しばしば目にする。それぞれほんの一例だが…
我々の住む日本社会は、ここほんの数十年で、ものすごいスピードで機械化、自動化が進んでいる。例として適切かどうかわからないが、自動改札機の普及が始まったのは1970~80年代からとのことで、それまで改札業務はぜんぶ人手でやっており、鉄道会社はそれだけの従業員を抱えていたのだ。
機械で置き換え可能な単純労働がほんとうに機械に置き換わることにより、人間は人間でなければできない仕事に注力すればいいはずだった。司書や保育士、もちろん研究職などは「人間でなければできない仕事」の典型だろう。それがもし「好きでやっている」「代わりはいくらでもいる」という理屈で待遇の引き下げや低待遇のままの据え置きが行われているとしたら、我々の社会はどこかで「社会設計の失敗」のようなものを犯しているような気がしてならない。
ただし「失敗」しているとして「どこで失敗が始まったか?」と考えると、対象が大きすぎて絞り込みは容易でなさそうだとも思える。
機械化・自動化の効果が「人間が楽をする」方向ではなく「人件費を削減する」方向にばかり発揮されているのはおかしい、くらいは言いたいのだが。
ときに「これ以上、わたし頑張れません|NHKニュース」に関しては、落ち度なく報酬の約半額もの減額というところに強く違法性を感じたので、労働組合に相談してほしかったという意味のブックマークコメントを書いた。事情は異なるだろうが個人的に地域労組から多大な助力を得た経験があるので。
ところが同記事から関連リンクとして表示されたこちらの記事には、一年契約満了の2ヶ月前になって契約更新しないと伝えられた非正規職員が登場していた。労組に相談したが、契約更新は叶わなかったとのことだった。うーん、そうなのか…
この記事は、「(現在は人口が増加しているが)将来の人口減少を見越して公共サービスを維持するために非正規職員に頼るしかない」という自治体側の言い分も紹介している。
なんだかヘンな理屈である。
身分の安定しない非正規職員にシフトして「公共サービスを維持する」ことが可能なのだろうか? また非正規職員の生活を「維持」することに対しては、自治体は責任を持たなくていいというのだろうか?
同記事にはさらに、いったん民営化した図書館をふたたび公営に戻したことも書かれている。人件費削減の目的で民営化したのだが、退職者が相次ぎ運営が難しくなったので、市営に戻したとのことだ。
運営主体を再三変更したことに伴うコストは、どれくらい発生したのだろうか? なにより職員さんたちの生活には、どのような影響がどれほど出たことだろうか? いろいろな意味で本末転倒としか思えないのだが…
拙シリーズ「反児童虐待・書籍寄贈の旅」では「番外編」として、電話と郵送による寄贈の記事を書いている。このアクションが、図書館をめぐる状況への批判にも改善にもつながるわけではないが、さりとて書籍寄贈の申し出への対応は図書館の正当な業務の一つであり、こちらが遠慮すべきことでもなかろう。今回の拙記事は前半と(これからの)後半のつながりが今一つのような気がするが、気にしないことにする。
矢川冬(id:yagawafuyu)さんの 6月30日付最新エントリー で公開された「図書館寄贈情報一覧」と、google:寄贈を受け付ける図書館 の検索結果を見比べると、いろんな考えが浮かびましたが、北関東各県の県庁所在都市でHPに寄贈に関するページを設けている図書館が多いことが目に留まりました。北関東というのに深い意味はありません。日本全国を網羅するのに、地域縛りがあった方が漏れが少ないかなといった程度です。
「番外編3」には予算の限られている中小都市の図書館の方が、収蔵の審査を通りやすいんじゃないかと書きましたが、やはり県庁所在地というのはなにがしかの魅力を感じます。審査さえ通れば、人口が多い分、この本を必要としている人の目に触れる機会も多くなるんじゃないかとか。
個人的には、たった一人でも救いになってくれればいいと思ってるんですけどね。そしてそれは大都市も中小都市も関係ないのですが。
そんなわけで先週の日曜日に、矢川さんの一覧で収蔵未定となっている千葉県・栃木県・群馬県の図書館何館かに、寄贈を受け付けてくれるか問い合わせの電話を掛けてみた。埼玉県と茨城県には、収蔵を決定してくれた図書館がすでに存在する。
具体的には千葉市図書館と…
宇都宮市立図書館…
前橋市立図書館は、日曜日は担当者が不在で郵送受付が可能かどうかわからないのでウイークデーに掛け直してくれと言われたので…
火曜日に掛け直すことにし、追加で高崎市立中央図書館に問い合わせてみた。
郵送OKの返答をもらった千葉市図書館、宇都宮市立図書館、高崎市立中央図書館に宛てて、荷造りをした。
プチプチを使うとスマートレター制限の2cmぎりぎりになってしまうので、今回は学習してダイソーで買ったクッション材で梱包した。ちょっぴり薄め。
2通の送り状はいつもの文面である。
直接持参すると、当然ながら交通費がかかる。郵送を使えばその交通費だけで何件も送付できることは、以前から少々後ろめたく感じていた。乗りテツのほか神社仏閣めぐり、史跡めぐり、博物館・美術館めぐりなど自分の趣味を絡めているので。
個人的には災害ボランティア出動に関しても、同様の後ろめたさを感じることがある。どうしても交通費がかかるので。交通費を義援金に出した方が、被災者にとっては有意義なんじゃなかろうかと。
全国からボランティアが駆けつける姿に勇気づけられたと言っていただいたことは何度かあるし、実際に被災地に行って現場の記憶を目に焼き付けることは、自分自身にとってもメリットがあると確信してはいるのだけれど。
投函。これら3枚の写真は 6/30 (日) にツイッターに流した写真と同一である。
* * *
前橋市立図書館には、火曜日に電話をかけ直した。担当者さんからは、あっさりHP記載の住所に郵送してくれればいいですよと言っていただいた。
群馬県には2館に送ることになるけど、まあいいや。
投函。この2枚の写真は一昨日(7/2)ツイッターに流した。
寄贈状況がブランクの県は数えるほどしか残っていないので 矢川 さんにお任せするとして、今後は 矢川 さんのブログの更新状況をチェックしながら、西日本など他の地域で収蔵未定の府県の2館目以降への寄贈を試みる予定である。
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