チャイムが鳴ったので玄関ドアを開けたら、高齢の男性が立っていた。
年取っても働かなきゃいけないのは私も同じだから同情はするけど、面識のない相手に顎マスクは印象よくないぞ。
手に持った読売新聞を突き出しながら「新聞はどこですか?」と尋ねてきた。
郵便受けスリットから引き抜いたばかりの朝日新聞を広げて見せた。
「サービスしますよ」とか何とか言ってきたが、相手にしなかった。そのうち諦めて背を向けたので、ドアを閉めた。
その足でアパートのお向かいさんを勧誘しているやりとりが、ドア越しに聞こえた。「どこですか?」「朝日です」中日新聞の強いこの地方では珍しく、2軒続けて朝日なのだ。「読売に変えてもらえませんか」やはり断られたようだった。
読売の拡販員の襲撃を受けるのは、何年ぶりだろう? 一時期かなりわずらわしかった記憶がある。現住所に引っ越す以前だったからもう十年以上も前のことだが、商品券を一枚ずつ手渡しする攻撃にはまいった。願望も込めてほんの一瞬だったと思いたいが、突き返すのに少しだけ時間がかかった。
そう言えば今回の拡販員は、景品を持っていなかったな。よそで実弾を打ち尽くした後だったのだろうか?
いまどき新聞各社は主戦場をネットに移しているように見受けられるが、読売さんは今でも紙に固執しているのだろうか? そゆえば私のSNS観測範囲は「はてな」とツイッターにほぼ限定されるけど、日経朝日毎日東京産経…の記事はよくリンク貼られるがそれらに比べて読売はあきらかにリンクを見かける機会が少ない。いわゆる "ドン" が存命中は、紙重視の経営方針は変わらないのだろうか。私の心配することじゃないけど…
とかなんとか思っていたら、思いもよらないところにも被弾していた。
週一か二週に一回の頻度で、高齢の身内のいる実家の様子を見に行っている。
この件の直後に実家に行ったら、身内が「新聞を読売に変えた」と言うではないか!
商品券を見せてくれた。実家に近いスーパーで使えるもので、500円券が6枚あった。
内心「あちゃー」と頭を抱える思いだった。
拡販員は「仕事を探して北海道から出てきた」とか何とか言っていたとの由。知らんがな。
実家はもともと中日新聞だったが、そんなで6ヶ月だけ読売に変えてみるとのことだった。商品券の3000円は1ヶ月分の購読料にも満たない額だから、割に合ってるのだろうか。
一瞬、消費生活センターに電話して解約させようかと思わないでもなかったが、このくらいであれば好きにしてもらえばいいかと思い直した。過去にもサプリメントとかわけのわからないものが、ときどき届く家ではある。相手が霊感商法か何かであれば、他の身内も巻き込んで全力で何とかしなくちゃならないだろうけど。
月が改まる前の出来事だったので、解約前の中日と無料分の読売が同時に届いていた。
いらんことだが「陸自セクハラ和解」のニュースが一面でないことが、いかにも読売らしいと思った。
自宅に戻った時に確認したら、朝日もやはり一面ではなかったが。
改めて思い出して見ると、私は学生時代に一人暮らしするようになって最初に取った新聞は毎日だった。販売店が下宿先のすぐ近所にあるという理由からだった。ほどなく転居して同じような理由で朝日に変えてから、かれこれ40年ずっと朝日だ。
朝日のいいところは月刊『正論』や月刊『HANADA』の広告が載らないこと…というのは冗談として、文化面の充実ぶりは群を抜く感がある。特に書評記事は欠かさず目を通すようにしている。
それからwebの有料記事が…と書こうとして、実家が新聞を変えたことの影響が、わが身にも及ぶことに気づいた!
中日新聞と、同一資本の東京新聞は、紙の購読者には有料記事を開放しているのだ!
電子メールで申し込むシステムだったが、実家が購読しているのはアリかなと申し込んでみたところ、認められた。
大量のスパムもとい通知メールを受け入れることを代償に会員記事が月10本まで読める日経と合わせて、3紙(中日、東京を別に数えると4紙)の記事をまあ不自由なくネットで読めていた。このメリットは大きい。できれば毎日新聞のweb記事も読みたいところだが、キリがないので思いとどまっている。
6ヶ月間購読を中断すると、有料記事を読める特典も消失するかな? 身内はドライだから6ヶ月縛りの期間を過ぎたらサバサバと中日に戻すことが予想されるが、web記事講読も再手続きをしなきゃならないとすると、ちょっとだけ面倒だ。
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