3月16日の鈴鹿大学裁判第2回公判期日の内容を受けて、支援団体のツイッターアカウントが新しい情報を少しずつ発信し始めているようだ。
3/16、鈴鹿大学裁判の第二回期日でした。無期転換後のクビ切りにつき、団交で大学側は一貫して解雇と認めず、「労働契約の終了」としてきました。裁判官にも、解雇ではなく「労働契約の終了」だと回答。非常勤講師との労働契約はコマがなくなれば、労働契約が終了することが「内包」されていると主張
— 非正規労働者の安定した雇用を支援する会 (@hiseikishien) 2023年3月17日
このような解釈がまかり通れば、無期転換しても、いくらでも首を切ることができるようになってしまいます。その意味でも絶対負けられない闘いです。ご支援、よろしくお願いいたします。
— 非正規労働者の安定した雇用を支援する会 (@hiseikishien) 2023年3月17日
「内包」云々というのは、もちろん被告側の独自理論である。
個人的には、裁判長が被告側に根拠を尋ねたことが、たった一言ではあったが重要情報だと感じた。
こちらには無期転換権を定めた労働契約法18条がある。あちらには何があるのか、ということだ。
だが私は法律を専門的に勉強したことのない素人である。このエントリーではこれ以上の深入りは避け、裁判の推移と支援団体から発信される情報を見守るしかない。
ところで鈴鹿大学裁判第2回期日は同裁判を支援する団体の一つが同時に支援している日東電工裁判の判決日と重なったため、両方の支援団体が合流し報告会場をタイムシェアしたりしたことを、3月17日付拙過去記事で述べた。
この拙記事を連携機能でツイッターに流したところ、Nitto Denko Kameyama Labor UNION ZENROREN KAMEI@DenkoLabor さんともう一人の方が「いいね!」してくださりリツイートしてくださった。
Nitto Denko Kameyama Labor UNION ZENROREN KAMEI@DenkoLabor さん(以下 @DenkoLabor さん)は日東電工裁判をたたかっている地域労働組合「亀山日東電工一般支部」のアカウント、もうお一方は原告団のお一人のようだった。
日本語表記はプロフィールの「自己紹介」に基づいています。
3月17日付拙記事に貼った日東電工裁判の判決を報じる東京新聞記事は、おそらく共同通信配信だろうと書いた。
@DenkoLabor さんの「返信」を拝見すると、共同通信公式のツイートへのリプがあった。そのツイートのリンク先が、まさしくその記事だった。
正社員との格差「不合理」 - 日東電工に賠償命令https://t.co/axvi3FVsoJ
— 共同通信公式 (@kyodo_official) 2023年3月16日
そして@DenkoLabor さんのいくつかのリプが、日東電工裁判の概要をコンパクトに伝えてくれているようだったので、弊ブログにもブログカードを貼り微力ながら拡散に協力したい。
2023年3月16日。。。
— Nitto Denko Kameyama Labor UNION ZENROREN KAMEI (@DenkoLabor) 2023年3月17日
私が原告の一人です!
2010年にに200人程の日系ブラジル人は派遣会社から直接雇用になりました。会社は有期雇用契約と説明があったけど、実は有期雇用就業規則を労働局に届けせずに契約を結び。当日は2つの就業規則だけを契約可能だった、正社員もしくは準社員。
2012に労働組合を結成、実績:男女賃金格差解消(時給1050円を1370円統一へ)。団交続けて、準社員の道を開いた。2018年に会社側は有期雇用労働者を準社員登用に予定はないと言ったから、私達は訴訟を起こした。その時点までいくつの賃上げを勝ち取ったことがありました。
— Nitto Denko Kameyama Labor UNION ZENROREN KAMEI (@DenkoLabor) 2023年3月17日
裁判起こして、会社はやばいと思ったんでしょうか? 2020年4月に有期雇用契約を撤回、ブラジル人全員を準社員化にした。0円の一時金は準社員化のおかげで、年に基本給の2.6ヶ月支給、特別休暇を正社員と統一、リフレッシュ休暇、定期昇給、福利厚生充実、等。判決は氷山の一角だ!
— Nitto Denko Kameyama Labor UNION ZENROREN KAMEI (@DenkoLabor) 2023年3月17日
弊ブログでは「日本は世界で一番解雇規制の厳しい国だ」という言説が虚妄であると、たびたび繰り返している。
2022年5月22日付日経新聞記事 によると、OECDの指標で正社員の個別解雇は37か国中緩い方から12番目、集団解雇は7~8番目。
それ以上に、違法な解雇が行われたとき日本では労働基準監督署に訴え地労委の調査委員会が開催されても、救済は遅々として進まず解雇された者は何ヶ月、何年も放置される。
海外の事例に関しては明るいわけではないが、思いつくのは5年ほど前にニュージーランドでの短期語学留学から帰った直後に知った、そのNZで起きた日本人経営者による不当労働行為に対し当局が示した毅然たる態度である。
2018年5月18日付拙記事 にブログカードを貼ったツイートと英文記事のリンク先が、まだ生きていたので再掲する。
ニュージーランドクライストチャーチで日本食レストラン「サムライボウル」を経営するジャパンパワー社、従業員25人に休日手当、最低賃金払わず摘発、7万ニュージーランドドル(約545万円)の罰金刑。同社のタケウチマサカズ氏は「これが日本のやり方」とうそぶいた。何ブラック企業輸出してんねん? https://t.co/kJYEJfSmBc
— ゆーすけ/유스케/Yusuke (@yoox5135) 2018年4月23日
英文記事中からの抜粋も再掲。
クライストチャーチの日本食レストランオーナーは、適正な年次休暇を付与せず、休日手当を支払わず、法定最低賃金を下回る賃金しか支払っていなかった。
オーナーはNZの法律には賛同しないと主張したが、検査官には協力し(罰金以外に)約190万円の未払い賃金の支払いにも応じた。
労働者は移民だったそうで、オーナーはビザを保証する権利も24ヶ月の停止となったとのこと。
NZ検査官のメッセージ拙訳。
「我々は、とりわけ未払い賃金を受け取ったのが無力な移民労働者であり、また支払ったのが意図的に年休や適切な休日も与えず勤務記録も残していなかった会社からであることを、嬉しく思っている」
「この巨額の罰金は、わが国の労働法を無視することは認められないという明確なメッセージである」
サンプル数1と言ってしまえばそれまでだが、日本における不当労働行為への対応が同じOECDの一国であるNZのそれより毅然かつ厳正であろうとは、どうしても思えない。
そして非正規労働者、外国人労働者、女性といった立場の弱い層にとっては、状況はより過酷であるとしか言えない。
そんなであまりに小さな一歩だが、まずは@DenkoLaborさんともうお一方のツイッターアカウントをフォローした。日東電工裁判は控訴の意向とのことだから、引き続きウォッチは必須と思われる。
「そんだけかい!」と脳内自己突っ込みをせずにはいられないところだが。
以下、戯言です。「日本は世界で一番うんぬん」つながりで、ネギ(id:ad2217)さんからの言及には言及返ししないわけにはいかなさそうだと思った。
日本が世界で一番どうこうというのが信用おけないというのは承知というか前提のつもりというのが、私からの一応の反論である。それよりもしネギさんブログ中にあるwatto砲というのが実在するとしたら、自ブログのアクセスアップに使うわいというのは偽らざる本音ではあるが、今回に限っては鈴鹿大学裁判と日東電工裁判の原告側応援に全砲門を開きたい。
線香花火とどっちがマシかというレベルであろうが…
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