しいたげられたしいたけ

空気を読まない 他人に空気を読むことを求めない

中島らも『寝ずの番』(講談社文庫)

寝ずの番 (講談社文庫)

寝ずの番 (講談社文庫)

また中島らもを読んでしまった。
短編集。表題作は、落語の師匠の通夜の席で、通夜にあるまじき不謹慎なエピソードの披露合戦になるというパターンの連作。ヤマやオチはない。
解説によると、著者が劇団仲間の落語家から聞いたエピソードを、そのまま活字にしたものらしい。エッセイとネタがかぶっているものもある。まあこの著者の場合、ネタの使いまわしはめずらしいことではないが。
ちょっと気になったのが収録二本目の『寝ずの番II』の冒頭。

 橋次兄さんが死んだ。
 故・橋鶴師匠の一番弟子で五十一歳。これから咄に味が出てこようという若さでの急逝だった。
 飲み屋の雑居ビルの三階から階段落ちになって、打ちどころが悪くて、脳内出血で死んでしまったのだ。

(p45)
著者と死因がそっくりではないか!しかも著者の享年五十二歳と一年違い。少し気味の悪い偶然の一致。