🍉しいたげられたしいたけ

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島田荘司『御手洗潔のダンス』(講談社文庫)

御手洗潔のダンス (講談社文庫)

御手洗潔のダンス (講談社文庫)

短編集。
「山高帽のイカロス」「人間は空を飛べる」と主張する幻想画家が、地上20メートルの電線にひっかかった死体で発見された。画家の妻は発狂。さらに現場の近くの路線を走る電車の車体に巻きついて、誰のものかわからない人間の腕が発見された…
「ある騎士の物語」会社の社長に恨みを抱く女性が、拳銃を入手して殺害の機会を伺う。しかし決行のチャンスと思われた夜は、大雪が降り、道路は使えない。終電も出てしまったあとだ。ところが絶望にうちひしがれた女性が気を失っている間に、社長は射殺され、ピストルの弾倉からは犯行に使われたのと同じ数だけの弾丸がなくなっていた…
「舞踏病」浅草の民家の二階に、月に70万払うから父親を一月下宿させてくれと土下座してまで頼む男が現れる。家主が了承したところ、二階に住み始めたその父親という老人は、夜な夜なドシンバタンと踊りを始めるという奇行の持ち主だった…
この手の「奇妙な状況に合理的な説明がつく」という物語は好みである。本書中で一番好きなのは「ある騎士の物語」かな。解答がコンパクトで納得度が高い。
「近況報告」他の作品とはだいぶ毛色が違い、御手洗潔の人物紹介といった短編。いろんな横顔が紹介されるが、ちょっと意外だったのは、たいていのミステリの名探偵が政治的にはノンポリであるのと対照的に、御手洗は国際政治も大いに論じる。おお、御手洗は憲法九条支持なのか!ただしその理由付けは、例によって大いにぶっ飛んでいる(というほどでもないか。この話題は、例えば意外なところでは『星新一 一〇〇一話をつくった人』の前半にも登場し、私自身もうちょっと勉強しておきたいと思っている内容なのだが)。
星新一 一〇〇一話をつくった人

星新一 一〇〇一話をつくった人