もうちょっと早く書いてもよかったかなという小ネタをマクラに何件か。
地下鉄を掘っているらしい。
貰ったオークランドの無料マップより主要部のみスキャン。地図上の “Albert St.” (アルバート通り) というところだ。
スクールがあるのは右隣の “Queen St.” (クイーン通り) 。登校時にわざとちょっとだけ遠回りした。左隣の “ Hobsen Hobson*1 St.” (ホブソン通り) にはスカイタワーがある。
* * *
登校には、電車を使った。ホストファミリー宅からマップ右上の “Britomart” (ブリトマート駅) まで約50分だった。本数は10分に一本で便利だった。
朝はそこそこ混んではいたが、毎回座れた。ビジネスマンの服装がカジュアルなのが目を引いた。紺スーツに白シャツ、ネクタイの男を見かけると、一発で日本から出張で来た奴だなとわかるほどだった。えっ、キングスマン? アーアー聞こえない。
下校時は時間が早かったものだから、始発はいつもガラガラだった。途中駅から下校する中高生がいっぱい乗り込んできた。制服を着ていたので「へぇ」と思った。
ビジネスマンも学生も、人種は多様である。白人、アジア系、インド系…ヒジャブ着用の女性が多いように見えたのは、イスラム教国のインドネシアやマレーシアが近いからだろうか。こういうところを国際都市というのだろうか。「自分がここにいてもいいんだ」と思えて、気分的に楽だった。
一度、制服姿だがガンダムのララァとウテナのアンシーのようなJKが、すぐ前の席に座ったことがあった。どんな会話をしているのだろうと聞き耳を立てたが、何をしゃべっているのか全く理解できなかった。単語自体は易しそうだったんだけどね。おそらくバックグラウンドとなる文化を、彼女らと共有していないからだろう。ララァだアンシーだJKだという日本語だって、ネット民やオタク以外にはそうそう通じまい。わざとやりましたすみません。
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小ネタと言いつつ前置きが長くなった。以下、本題の、スクール4日目の授業とアクティビティの話。
これまでドイツ人の若い生徒の話ばかりしていたが、他の生徒とのディスカッションにも刺激的なものがいくつもあった。
授業は、短いエッセイと設問の教材を下敷きに、生徒が二人または三人一組でディスカッションするという形式が多かった。教材に「世界から貧困をなくすには、どうしたらいいか」というものがあって、話題はそれぞれの出身国の政治の方向へも向かった。
そのときの私のパートナーは、ブラジルから来た若い女性だった。余計なことだが、黒髪に黒い瞳の、モデルのような美人さんである。前腕に、花の輪郭の大きな刺青があるのが目を引く。
「あなたの自国政府への意見は?」と、容赦なく尋ねてくる。弊ブログをお読みいただいている方はご存知のことと思うが、私は現日本政府に対しては明確に批判的な意見を持っている。短く言うと、現在の政権が矢継ぎ早に成立させてきた諸法制は、個人の権利を削り国や組織の権限を強化する、という一貫した共通点が見て取れる。こうした傾向に対して、極めて危ういものを感じているのだ。特に自民党改憲草案は、正気の沙汰ではないと考えている。
しかしバックグラウンドを共有しない相手にそれらを説明するのは少々やっかいだし、なんだか外国に行ってまで自国の悪口を触れ回るようで、気後れを感じた。だからその場では「いろいろな議論がありますよ」などとお茶を濁してしまった。
だがそんな忖度…じゃなかった遠慮は、全く不要のようだった。相手の方から、自国政府すなわちブラジル政府に対する批判が、矢継ぎ早に繰り出された。曰く、腐敗している、曰く、非効率である、曰く、社会保障がはなはだ不十分である…
なんだか気圧されて、「でもルラ元大統領は人気があったんじゃないですか」とあらずもがなのフォローを試みたら「日本で人気があったんですか?」と返されてしまった。明らかにいらぬことだったようだ。
「日本では大学の学費は無料なんでしょ? うちの国は違うんですよ」とも言われた。さすがにこれは事実に反するので否定した。一年の個人負担が、えっと、とっさに通貨の換算ができない。開いていたノートに、数字の1の後ろにゼロを6つ書き、そのうちの二つを線で消して示すと、「あ、うちもそんなもんだわ」ということになった。
政治にせよ何にせよ、一歩、日本国外に出たら自己の主張を明確にするのは当たり前とはよく言われることである。サンプル数1とはいえ、それを実体験した感があった。
スクールの外国人とのディスカッションでやるかどうかは措くとしても、少なくともうちのブログでは、政治にせよなんにせよ、もうちょっとくらい旗幟を鮮明にすべきかという気は、いつもしている。多少はやってるつもりだけど。
例えば先日ツイッターで話題になり「はてな」でも一時ホッテントリ入りしたこのツイートだが…
和田政宗が野党にブーメラン跳ね返そうと「山梨の学園(日本航空学園)も評価額の8分の1で国有地売却している!そこの保護者会連合会長は野党(民進党)議員だ!」とぶち上げたら、そこの理事長は右翼(チャンネル桜設立発起人)で理事や系列学校元校長は自民党元議員でしたというオチ。無知すぎるw
— mold (@lautream) 2018年3月19日
ブーメランと笑っている場合ではなく、もしこれが事実であれば、まぎれもない縁故主義であり国有財産の私物化であり、ブラジル人生徒のいうところの “corruption” (腐敗) に該当するはずなのだが、現代日本においてはその「腐敗」が「腐敗」として広く国民に認識されているとは言えないのが、深刻な事態のように思われる。
あと森友問題に関連して発覚した公文書改ざん疑惑に関しても、一部「どこが悪いの」的な擁護が見受けられる。めちゃくちゃ悪いんだよ! どこがどう悪いか、わかりやすそうな事例を挙げると、外国から裁判をふっかけられたときに、公文書の証拠能力が低いと見なされると軒並み敗訴となりかねない。諸外国には裁判ゴロみたいな悪辣な奴がいっぱいいるから、寄ってたかって賠償金をむしり取られるなど食い物にされる恐れがあるのだ。現実に、データ偽装が発覚したエアバッグのタカタは、それで破綻に追い込まれた。
この話題に関しては、独立にエントリーを上げるべきかも知れない。
* * *
午前の授業が終わって、昼食はちょっとくらい変わったものをと、行き当たりばったりでこんな店を利用してみた。メキシカンだ。
チキートというのだそうだ。小麦粉を焼いた生地で、ふんだんにドレッシングとスパイスを振りかけたコメや生野菜、それにビーフかチキンなどの肉を巻いたもの。
これがめちゃうま! (゚Д゚;
今回の短期留学中に食した昼食のなかでは、最大のヒットだった。
具材のコメが、少し小粒で日本のご飯とは違うのだが、もっちりとして独特の風味があって、たいへん美味だった。香り強めのドレッシングをまぶした生野菜も悪くなかった。
貰ったメニューカードをスキャンした。上半分だけ示す。
チキートというのはブリトーの小ぶりのものを言うのだそうだ。あと小麦粉生地なしのコメと具材だけの、どんぶりのようなメニューもあった。
全メニュー制覇したいくらいだが、日本でもこういう店がどこかにないだろうか?
これはスクールにあった自販機。ドリンクの他、お菓子も買える。
日本では見かけないエアロのミントチョコを買ってみた。これで約200円。物価は日本に比べると少し高めである。さきのチキートだって約700円だもんね。
それでもNZの物価は、米英豪に比べると安いそうなんだけど。
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午後のアクティビティ。毎週木曜日は “Conversation Club” と言って、他のクラスとの交流が売りだ。だがつまるところ合同クラスによる授業のようなものだった。場所もスクールの教室利用だったし。
参加者は10名ほどだった。私のクラスはレベルが一番上とは言え、それはたぶん日本独自のペーパーテスト教育によって上げ底されたものだったろう。他のクラスからの参加者の会話力が低いとは全然思えなかった。
この日の課題は、お互いインタビューし合って、その内容を紙に書きだしてゆく、そして講師が紙に書かれた文章を読み上げて、それが誰のことかを当てようというものだった。
参加者は、日本、中国、ブラジルからが大半を占めていた。中国&ブラジル多いな。私のクラスから参加したのは私一人だったから、他のメンバーとはみな初対面だった。
驚いたことに、中国やブラジルから来た生徒には、NZで職を得ようという意図を明確にしている者が少なくないようだった。お互いに質問し合っていると、自然とそういう話題が出てきた。中国ではホテル経営を勉強したが、ホテル関係の職につくつもりはありません、と、はっきり言った生徒もいた。詳しくは聞かなかったが、ひょっとすると日本から来た生徒にも…?
その点はスクール側も認識しているようだった。
これは断って撮影したスクールの掲示物の一部。NZで就職するにはどうしたらいいかを、SREP1 から STEP3 まで、大量の掲示物を使いかなり詳しく説明している。さらに、より詳しくはとしてQRコードで誘導している。
NZの面積は日本の三分の二、英国とほぼ同じであるにも関わらず、人口は約470万人と、決して多くない。以前、NZは外国人に対する英語教育を国策と位置付けているらしいと書いたが、それだけでなく、国として移民労働力に窓口を開いているのかも知れない。就職支援は、一スクールとしてできることじゃないもんね。
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*1:スペルミス訂正しました。失礼しました。ご指摘ありがとうございました