🍉しいたげられたしいたけ

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『金剛般若経』にチラ出する悪王の詳しい物語が『倧乗涅槃経』䞭にあるのを芋぀けた

閲芧泚意です。仏兞には、目を朰したり手足を斬ったりするグロい話が、案倖たくさんある。

『金剛般若経』は岩波文庫ず䞭公文庫に収録されおおり、仏兞を読んでみようず思った人の倚くが早い時期に手に取りそうなものの䞀぀ではないかず思う。

そのうちのごく䞀郚を、岩波文庫版から匕甚する。岩波文庫には挢文癜文、挢文読み䞋し文、サンスクリット原兞の珟代語蚳が収録されおいるが、そのうちたず読み䞋し文を匕甚。

須菩提よ、忍蟱波矅蜜を、劂来は忍蟱波矅蜜に非ずず説きたもう。䜕を以っおの故に。須菩提よ、われ昔、歌利王のために身䜓を割截せられたるずきのごずし。われ、その時においおも、我盞も無く、人盞も無く、衆生盞もなく、寿者盞も無かりき。䜕を以っおの故に。われ、むかし、節節を支解せられし時においお、もし我盞・人盞・衆生盞・寿者盞あらんには、たさに瞋恚を生ずべかりしならん。

䞭村・玀野蚳泚『般若心経・金剛般若経』 (岩波文庫) P84より

改行䜍眮、倉曎したした。ルビず泚釈、省略したした。以䞋同じ。

「歌利王」には「かり」ずルビされおいる。たた「悪王ず蚳すべき」ずいう倧意の蚳泚がある。

須菩提スプヌティは『金剛般若経』におけるブッダの説法盞手察告衆で、「解空第䞀」ず称される仏匟子である北斗柄id:hokuto-heiさんのコメントを受けお本文に远蚘したした。感謝です。

同じ箇所の珟代語蚳を。

 けれども、さらにたた、スプヌティよ、実に、劂来における忍耐の完成は、実は完成ではないのだ。それはなぜかずいうず、スプヌティよ、か぀お或る悪王がわたしの䜓や手足から肉を切りずったその時にさえも、わたしには、自己ずいう思いも、生きものずいう思いも、個䜓ずいう思いも、個人ずいう思いもなかったし、さらにたた、思うずいうこずも、思わないずいうこずもなかったからである。
 それはなぜかずいうず、スプヌティよ、もしも、あの時に、わたしに自己ずいう思いがあったずするず、その時にたたわたしに、《怚みの思い》があったに違いないし、もしも生きおいるものずいう思いや、個䜓ずいう思いや、個人ずいう思いがあったずするず、その時にたたわたしに、怚みの思いがあったに違いないからだ。

同 P85より 

䞭公文庫版では圓該箇所はP38。䞭公文庫版は珟代語蚳のみだが、叀代むンドの倧乗仏教孊僧アサンガ無着による泚釈「䞃十䞃詩頌」が䜵収されおいる。

般若心経・金剛般若経 (岩波文庫)

般若心経・金剛般若経 (岩波文庫)

 
倧乗仏兞〈1〉般若郚経兞―金剛般若経・善勇猛般若経 (䞭公文庫)

倧乗仏兞〈1〉般若郚経兞―金剛般若経・善勇猛般若経 (䞭公文庫)

 

 

前回の゚ントリヌ を曞くにあたっお、野村耀昌線『仏教説話癟遞』(孊習研究瀟) に収録されおいるデヌノァダッタダむバダッタ、提婆達倚の登堎する物語をいく぀か読み返した。

その䞭の短いものに、こんなものがあった。ゞャヌタカ前生譚である。党文を匕甚するず長くなるので、䞀郚䞭略した。

釈尊は過去の䞖に、デヌノァダッタずずもに商人仲間の䞻ずなっお、宝物を採取するためにおのおの五癟人の商人を぀れお倧海の䞭ぞ乗り出した。ずころが、業瞁のために倧暎颚に芋舞われお、芋る承るうちに船は壊され、䞀行の党員はみな海底のもくずず消え倱せた。
しかし釈尊ずデヌノァダッタの二人だけは、長寿の果報を埗おいたために、どうやら呜拟いをしお陞地に着くこずができた。しかしいったん採取した宝物は、難船ずずもになくなっおしたった。デヌノァダッタは倱った宝物にたいする執念から、残念がっお泣き出した。
≪䞭略≫
「デヌノァダッタよ、物ごずはそんなに心配したものではない。わたしは今ここに高䟡な二぀の珠を持っおいる。その䞭の䞀぀をあげよう」
 かくお釈尊は、高䟡な䞀぀の珠を圌に䞎えた。
「デヌノァダッタよ、呜があればこそ、こういう宝の珠が手にはいるのだ。呜がなかったら手に入れようずしおも䞍可胜なこずだ」
しかし、そのずき釈尊はだいぶ疲れおいたので暹の䞋に暪になっお眠っおしたった。するずデヌノァダッタは、生来の貧欲心がむらむらず頭をもたげお、自分が貰った残りの䞀぀の珠に目を぀けお、いきなり釈尊の䞡県を刺し、ふずころから珠を奪い取っお逃げおしたった。
 釈尊が、傷の痛さに悩んでいるず、そこぞ䞀人の女が来お、
「なんで唞っおいるのですか」
ず聞くので、釈尊は䞀郚始終を物語られた。するず女は非垞に同情しお、
「あなたのお名前はなんずいいたすか」
「実語ず申したす」
「実語ずは劙なお名前ですね。でも、あなたが実語だずいうこずがどうしおわかるのですか」
「それは事実が䜕よりも雄匁に蚌明しおくれるでありたしょう。それは、わたしがもしデヌノァダッタにたいしお恚みを持぀ようであれば、わたしの目は氞遠のめくらになるでありたしょう。しかし圌を恚たないようならばわたしの䞡県は、元のようになるず思いたす」
 こう誓うず釈尊の䞡県は、やがお回埩しお元のずおりになったのであった。

野村耀昌線『仏教説話癟遞』(孊習研究瀟) P356357

この物語には出兞ずしお「涅槃経第二十九」ず蚘されおいる。

 

「涅槃経」にはパヌリ文ず挢文がある。前者は䞭村元蚳『ブッダ最埌の旅―倧パリニッバヌナ経』(岩波文庫) ずいう珟代語蚳が出版されおおり、読んだこずがあるがこのような゚ピ゜ヌドがあったずは蚘憶しおいない。

今回のタむトルに『倧乗涅槃経』ず曞いたのは、埌者を意味する぀もりだった。四十巻本ず䞉十六巻本があり、四十巻本に぀いおは田䞊倪秀による珟代語蚳『ブッダ臚終の説法―完蚳 倧般涅槃経』党4巻が倧蔵出版から出おいる。いちおう党巻持っおはいるのだが、恥ずかしながらほが積ん読状態である。

以䞋、四十巻本のこずを単に『涅槃経』ず蚘すこずにする。

田䞊による珟代語蚳に圓たっおみたずころ、4å·»P6870に同䞀ず思われる箇所があった。田䞊蚳ではブッダが垫子同菩薩ずいう修行者盞手に自らの前䞖を語った郚分ずされ、前䞖におけるブッダの名は「真実を語るもの」ず蚳されおいた。 

ブッダ臚終の説法〈4〉―完蚳 倧般涅槃経

ブッダ臚終の説法〈4〉―完蚳 倧般涅槃経

 

䜕の気なしに、それに続く郚分も読んでみた。そうしたら、驚くべきこずが曞かれおいた

やはり長くなるので、ずころどころ䞭略を挟みながら匕甚する。 

 垫子同菩薩、私は次のようなこずを思い出した。昔、私は南むンドのプヌタナずいう郜に䜏むバラモンの家に生たれた。その郜の王はカラヌブ別名・カヌリず呌ばれた。性栌は残虐で、傲慢で、そしお誇倧劄想癖があった。幎若く、容姿は端麗で、五欲に溺れおいた。その頃私は人々を教化するために郜の郊倖におり、䞀人静かに坐犅の日々を送っおいた。
 ある春の頃、その王は花芋のために眷属、宮殿の臣䞋や偎劻や䟍女たちを連れお郊倖に出かけ、林の䞭で宎を楜しんでいた。その内、王は連れの者たちず離れお遊んでいるうちに、私が䞀人坐っおいる堎所に来おしたった。圌に向かっお私は貧りをなくすようにず説法した。するず王は語りかけた。
「君は最高の聖者である阿矅挢の䜍に達しおいるのか」
私が答えお、
「達しおいない」
ず蚀うず、王は
「君は阿矅挢の䜍の前段階の䞍退転のさずりを埗おいるのか」
ず尋ねた。これに察しお私が
「埗おいない」
ず答えるず、王は
「この二぀のさずりを埗おいないずなれば、君には貧りの煩悩がただあるこずになる。君はどうしおゞロゞロず俺の女を芋るのだ」
ず軜蔑しお蚀った。
「王、私はただ貧りの煩悩を確かに断ち切っおいないけれども、内心は頓着する気持ちがたったくない」
≪䞭略≫
「君、もし他人を経蔑し誹謗する者がどうしお正しい習慣を習埗しおいるず蚀えるか」
「王、もし嫉劬心があれば、誹謗するこずがあろう。私には嫉劬心がない。どうしお他人を誹謗するこずがあろうか」
「では君の正しい習慣ずは䜕か」
「王、忍耐が私の正しい習慣である」
「もし忍耐が君の正しい習慣だずいうなら、耳を切り萜ずすぞ。もし本圓に忍耐できれば、君の正しい習慣が本物であるかどうかが刀るだろう」
このように蚀っおから、すぐに私の耳を切り萜ずしたのである。私はそれでも顔色を倉えず平然ずしおいた。

≪䞭略≫
「もう䞀床詊しお、顔色が倉わるかどうかを確かめおみるこずにしよう」
今床は私の錻を削ぎ、手足を切ったのである。このようにされおいる間、私は数えきれない数の䞖界に䜏む人々が苊悩しおいるこずを憐憫しお、慈しみの気持ちを持っおいた。その時、四倩王たちが王のやり方に怒り、倩より砂や瓊瀫や石を降らした。これを芋た王は恐ろしくなり、私の前にひざたずいお蚀った。
「お願いです。私の懺悔を聞いおください」
「王、私はあなたに察しお怒っおいない」
「倧埳、どうしおあなたに怒りや憎しみがないこずが刀りたしょう」
そこで私は
「もし私に怒りや憎しみがないなら、この身䜓をもずの姿に倉身しお芋せよう」
ず蚀っお、本来の姿に倉身した。これが珟䞖の報いずいうのだ。

『ブッダ臚終の説法〈4〉―完蚳 倧般涅槃経』P7072

 カラヌブ王の名が挢文でどうなっおいるか怜玢したずころ、「迊矅富」ず曞かれおいた。『金剛般若経』の「歌利」ずいう衚蚘は、怜玢しおも『涅槃経』䞭には芋぀からなかった。䞊掲匕甚䞭に「別名・カヌリ」ずあるのは、蚳者の泚釈であろう。蚳者はきっず、『涅槃経』ず『金剛般若経』の関連に気づいおいたのだ 圓然ず蚀えば圓然かもだが。

Wikipedia によるず『金剛般若経』の成立は3䞖玀以前、『涅槃経』は4䞖玀くらいずのこずで、『涅槃経』のほうが新しいようだ。しおみるず『涅槃経』のこの前生譚は、『金剛般若経』に芋える断片を膚らたせたものであろうか あるいは共通の叀圢があるのだろうか

 

 『涅槃経』のうち阿闍䞖アゞャヌタシャトル王の物語は、長文が芪鞞の䞻著『教行信蚌』に匕甚されおいるこずが有名であるし、りィキペによるず『法華経』もたた『涅槃経』ず密接な関係があるらしい。たずはきちんず読たなきゃ、ず思い぀぀、自分甚のメモずしお゚ントリヌに䞊げる。

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