今回の拙エントリーの趣旨はブログタイトルに尽きており、それ以上の深い論考はありません。現地時間11月3日に投票が行われた米国大統領選に関する、私の狭いネット観測範囲の記録です。ランダムなリンク集と表現すべきかも知れません。
それに先立つ11月1日に投開票が行われた大阪市の住民投票に関しては、私のツイッターのタイムラインに「これがエコーチェンバー効果?」と疑いたくなる現象が起きた旨を 11月4日付拙記事 に書いた。開票結果は拮抗していたにも関わらず、反対派の意見がほとんどだったのだ。
似たような現象が起きるかなと思っていたら、今回は起きなかった。トランプ現大統領の熱心な支持者と思われる方が、FF さんに何人かいたからだろうと思う。タイムラインは人によって見え方が違うのはもちろんだが、「大阪都構想」賛成の論陣を張っていた人は、私のタイムラインの中ではほぼ孤軍奮闘の観があった。
ちなみに在阪TV局など関西のマスコミはこぞって「都構想」を推していたらしいが、関西在住でないので見ていない。
選挙権がないのは同じであれ、大阪市の住民投票に比べると私の米国大統領選に対する心情はよほど旗幟鮮明だった。反 トランプ 氏の立場である。
思いついたものを並べたので網羅的でないが…
- 日米二国間FTA、「思いやり予算」増額、武器爆買い、改「正」種苗法など、トランプ政権下で日本が呑まされたか呑まされる負担増は、同時期に発生した対ロシア(北方領土交渉など)や対韓国(フッ化水素輸出減など)の損失の比ではないと考える
- 地球温暖化の否定やパリ協定離脱などは、環境保護派の私としては容認しがたい
- 人種差別問題や人権問題の解決に、少なくとも積極的であるようには見受けられない
などが理由である。もちろんどの論点に関しても反論があることは承知しており、トランプ 氏支持者を一概に否定するつもりはないことを申し添えておく。
言いたかったのは、内心このような意見を持つ私のタイムラインに トランプ 氏支持のツイートが現れなくなるエコーチェンバー現象が発生しなかったことが、今回は逆に意外だったということである。
本題に入る前にもう一言、直接の FF さんでなくても現地メディアを本気で読み込んでツイートしてくださった英語セクターの方々に、感謝を申し上げたい。ありがとうございます。付け焼刃でニューヨークタイムズ電子版を読もうとしたって、私の英語力では読めやしねぇ(泣
つか今更ながらガチ英語勢の実力はすごいです。翻訳と編集が必要なニュース報道より、情報が半日くらい早い気がした。現地投票日翌日4日の日本のTV各局のニュース番組では「トランプ氏が予想を上回る得票」と一斉に報道していたが、彼らからすでに「あれは Red Illusion Red Mirage*1(赤い蜃気楼)だ」という指摘が散々出ていた。共和党のイメージカラーは赤で、都市部票と郵便投票の多い民主党に比べ農村部票と直接投票の多い共和党は開票序盤で得票率が高めに見えることを指した語である。
大統領選と同時に投票が行われた米国上下院の予想獲得議席数も、ツイートを見ていた方が日本のTVニュースより早くて正確だった。
しかし一方…これでようやく本題に入れる、と言いつつ芸のないリンク集です。意味を持たせるよう順番に手を入れようかなとも思ったのですが、結局私がブックマークしたりリツイートしたりした時系列順になりました。
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まずはこれかなぁ…私のFFさんも何人かこのグラフをリツイートしていました。
もちろんガチ英語勢からの反論も即座に流れてきたけど。
アメリカ政治 @America_seiji さんは、その名の通り本業(?)の米国政治ウォッチャー。
単に無知なのかわざとか知りませんが、アメリカの選挙なんてほとんどの日本人は知識がないということにつけこんで陰謀論を広める人がたくさんいますね。
— アメリカ政治 (@America_seiji) 2020年11月4日
変な形のグラフであればクイズとしてこれはどの州でしょうか?ヒントは砂漠です。 https://t.co/7qpd6e0DvG pic.twitter.com/8j0qvUB5oN
弁護士の Shin Hori @ShinHori1 先生は、余裕で英検一級の英語使いでもあります。
開票率は、94%ではなく89%と書いてありますよ(左側) https://t.co/yYVnWWAyK1
— Shin Hori (@ShinHori1) 2020年11月4日
続いてコレかな? ほぼリアルタイムで私がぶくましたのはデマの方だけをまとめた togetter だけど、せっかく日本語のファクトチェックがあるのでそっちを貼る。
先ほどのウィスコンシン州グラフが89%とキャプションされていることを確認するのは容易だが、それに比べると切り取り前の バイデン 氏発言原文を読んで意味をくみ取るのはちょっと大変ではある。
ともあれ、発端は米国本国であるにせよ日本で独自に進化を遂げたと思われるデマが、大量に見られた。
一部、引用。
12万4千のフォロワーを持つ利用者は4日午後10時過ぎ、「ウィスコンシン州の不正選挙疑惑まとめ」という書き出しで「疑惑」を列挙する内容をツイートした。この投稿は本文の代わりに「このツイートで共有されているコンテンツの一部またはすべてに異議が唱えられており、選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります」との文言が表示され、引用しにくくなっている。
即座にぶくまで「あいつやろ」と特定されていたことには、苦笑を禁じ得なかった。
こんなのも。mainichi.jp
こちらもブコメで日本語拡散者が特定され、弁明ツイートのリンクまでが貼られていた。
彼らに共通するのは「自分たちこそ大手メディアによるフェイクニュースの被害者だ」という意識のようである。
こういう意見には一切賛同はしないが、まだ理解はできる。
しかしこういう人は、どう考えたらいいのだろう?
これは「はてな」ホッテントリに入ったツイートだが、この手のツイートは大量に発生している。
米国白人保守層の利益を代弁していると言われる トランプ 氏が、どうして日本を守ってくれると思えるのだろう? トランプ 氏はむしろ、米国の国益のため日本の富を容赦なく収奪しようとする姿勢を隠さなかった。
それよか殺されましたか、あなたも私も?
「はてな」と言えば、こんなこともあった。「はてな匿名ダイアリー」(別名:増田)より。
不自然に「はてなスター」を付けあっているブコメのいくつかを読んだところ、次期大統領に当確が出ている バイデン 氏とその家族に対する、「近親相姦をやっている」などといった目を覆うべきデマのコピペであった。今はどれも非表示になっている。
なぜ バイデン 氏にそこまで憎悪を燃やすことができるのか? バイデン 氏の政策や人となりを、どの程度知った上でやっているのだろうか?
この手の奇妙なネットデマは、なぜか必ず トランプ 氏擁護、反 バイデン 氏に向かうことも特徴的である。
バイデン 氏の「不正選挙疑惑」に関しては、11月11日現在「まだやってるの?」感のある投稿が続いている。
これは10日付の日本語版メディアだが、他にも「ペンシルベニア州で バイデン 候補の当確取り消し」という怪しげな英語ツイッター投稿から「ついに バイデン 当確取り消し」と進化を遂げた経緯が辿れたりする。怪しげと形容したのは、米日の大手メディアが一切報道していないからである。
今回の拙ブログタイトルを再掲。
日本人が日本語で米国大統領選に関するデマを拡散して何の意味があるのか?
そんなことをしても、米国の選挙結果に微塵の影響も与えないことは明らかなのに。
4.8万 フォロワーの人気ツイッタラーである chocolat. @chocolat_psyder さんの、「はてな」でもホッテントリ入りしたツイートの引用をお許しいただきたく。
さんざん差別やデマを撒き散らしネトウヨを煽り、ネトウヨ相手に仕事をしてきたYouTuber、KAZUYAさん。
— chocolat. (@chocolat_psyder) 2020年11月9日
アメリカ大統領選挙についてちょこっとまともな事を言っただけで当のネトウヨ達から「狂ったか」とか「まるで中共」とか言われてる。ネトウヨ業界って一度ハマッたら足洗うの大変な世界だねえ。 pic.twitter.com/i7SjsObGqS
11月5日付朝日新聞デジタル記事中に登場するツイッタラー氏は 12万4千のフォロワーを持つわけで、フォロワーが多ければいいというものではないが、chocolat. さんツイート中の画像に引用されている発言に興味を引かれたので。彼らは罵倒以外に批判の根拠を全く示していないのが特徴的である。
批判されているのは「日本人が日本語でツイートしたところで、選挙結果には何の影響もないでしょう」というくだりだと思われるが、なぜこれが批判されるのか理由を尋ねてみたい気がする。
chocolat. さんのツイートを、もう一件引用したく。
不正選挙!不正選挙!バイデン不正選挙!と証拠もなくわめき散らしてる人たち、自民党議員や候補者がリアルお金配りして国会議員の議席を違法にGETして逮捕されて、いまだに辞めてないことには興味ないん?日本の話やで?? pic.twitter.com/ZBBBdkH6Bx
— chocolat. (@chocolat_psyder) 2020年11月8日
類似ネタをもう一件。
米国大統領選で「バイデン側に不正投票があった!」とネットで吹き上がっている人たちは、こういう情報にはどう反応するのだろう? とブコメをつけてぶくました。
同じ愛知県知事リコール騒動に関して。
米国大統領選で「バイデン側に不正があった!」と興奮している人と、リコールの不正を追及している人は、ぜってー重なっていないだろうなと想像する。
なぜ自分がそう考えるか、改めて省みてみると根拠の説明に困難を感じるのが不思議でもある。
その他、何冊も著書がありベストセラーもある有名な動物行動学者さんが、大統領選の再投票を求める米国の署名サイトへ *日本語で日本人に* 署名を呼び掛けるツイートをしていたり、11月11日現在 バイデン 氏の当確が取り消されたという *日本語の* ツイートをいくつもリツイートしているのをリアルタイムで観察しているが、これをどう紹介したものか戸惑っている。
本記事は情報を追加しつつリライトするかも知れません。とにかく情報が多いので。
追記:
11月13日に公開された BuzzFeed の記事によると、中韓の新興宗教系メディアも一役買っているとのこと。「日本だけではなかったのか」という倒錯した感情が少し沸いた
同じく13日付のツイート。
KAZUYA、上念、石平といった面々が米大統領選について「みんな、ちょっと冷静になろう…」と呼びかけたところ、ネトウヨから非難殺到らしい。
— 5,000mAh (@mahjp2100) 2020年11月13日
普段、そんなネトウヨ向けに文章書いて動画作って飯食ってる連中なので同情など微塵もないが、この面々が引くほどネトウヨの暴走が加速中。
もう、手遅れ。 pic.twitter.com/sIMbT6tvqZ
しかし彼らの攻撃対象が KAZUYA 氏、上念 氏、石平 氏にとどまらず、確実に米国本国にも向かっていることを想像すると、慄然とせざるを得ない。あと別の話になるけど、最近ではベルリン市とか…
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*1:すみませんミスです。b:id:sd_nano さんご指摘ありがとうございます