今年は「沖縄のいま 憲法のいま」と題して、沖縄伝統芸能と、ダグラス・ラミス氏の講演。
ちょっと遅れて会場に入った。沖縄民踊というのをやっていた。沖縄のものに限らず、伝統芸能はよくわからない。黄色をベースとした原色の鮮やかな沖縄衣装に身を包んだ女性たちが、ゆるやかに舞っている。名称を何というのか知らないが、丸いかぶりものがとても大きい。「美しい衣装を着て踊りたい」というのは、土地を問わず女性たちの自然な欲求なのかも知れない。続いてエイサー。太鼓を片手、バチを片手に、ダイナミックに舞う。片足とバチを持った片手を、高々と跳ね上げるアクションは、日本の本土では例を思いつかないなぁ。
ダグラス・ラミス氏は、元米軍の海兵隊員で、憲法学者。この人とはちょっとした縁があって、10年ほど前に名古屋であった講演会をパソコンの音声認識ソフトで文字に起こしたら、それが著書の一部として収録されたということがあった。
講演はさっそくキツいジョークから始まった。広瀬隆氏の著作に『東京に原発を! (集英社文庫)』というのがある。「本当に原発が必要で安全なものなら、東京の新宿駅西口に作ればいいじゃないか、その方が送電ロスがないし、冷却水を温水として地域に配ることができる」とあらすじを紹介し、原発の冷却水でニコニコしながら赤ちゃんをお風呂に入れるお母さんのイラストが載っていることも紹介する(そうだったっけ?
そして、ラミス氏は提唱する「それを丸ごとパクらせてもらって(会場笑)私はもし普天間基地が必要なら東京に移設すればいいじゃないか、と問いかけたい」
話題は2011年に仲井間知事が再選された沖縄知事選の分析へと入ってゆくのだが、ちょっと端折らせてもらって、印象的だったのが知念ウシさんという人が言ったという「生徒100人の小学校の話」。
とある生徒100人の小学校では、生徒が背負うランドセル100個のうち75個を、多数決で、体の一番小さい生徒一人に背負わせることを決めているという。
体の一番小さい生徒が異議を唱えると、他の生徒は、こんなことを言って逆に彼を責めるという「君はランドセルを背負うことがつらいと、誰よりもよく知っているじゃないか?そんなつらいことを、君は他人におしつけようというのかい?」
良心的そうに見える別の生徒は、こんなことを言う。「僕たちはランドセルそのものに反対している。問題は誰がランドセルを背負うかではなく、ランドセルそのものを廃止しなければ問題の真の解決とは言えないんだ」一見もっともそうだが、そのわりにはそういう生徒もランドセルを廃止するために真剣に何かをしているようにはどう見たって見えない…
この寓話が何を意味しているのか、解説の必要はあるまい。うーん、しかしこれは、次のようなの話にも、ほとんどそのままで改作できるよね。
50人の学校でランドセルを背負わされているのは、学校からいちばん遠くに住んでいる13人だけなのだ。そのうちの1人は、なんと一人でランドセルを10個も背負わされ、最近そのうちの4つをとうとうひっくり返してしまった。しかし上には上がいて、彼よりもっと体が小さくあぶなっかしそうに見える別の生徒は、一人でなんとランドセルを14個も持たされている…
まあ一言でNIMBYと言ってしまえばそれまでなんだが、そのような言葉を使うことは、かえって「わかったつもり」になって問題の深刻さを直視しないことになりはしないか?
ここで、先週の日曜日の「たかじんのそこまで言って委員会」とかいう番組のことを思い出してしまった。いや、あんな番組、自分で観るつもりは一切ない。画面は見ていないが、他人が観ている音声だけを、うっかり小耳にはさんでしまったのだ。
東日本大震災で救援に参加した在日米軍の「トモダチ作戦」を褒め上げ、それと対比させて、沖縄の新聞二紙の「トモダチ作戦」に対する報道が不当であることを批判する内容だった。
こいつら、沖縄の負担に対してどこまで鈍感なんだ!NIMBYを現に押し付けられている少数者の苦痛に、どこまで無神経なんだ?
それともNIMBYを押し付けられている者同士が連帯することを恐れて、予防するつもりか何かでわざとやっているのか?だとしたら逆効果だと思うけど。
私はブラックなやつなので、14個のランドセルを背負わされている生徒がランドセルのひとつふたつをひっくり返したらさぞかし面白かろうと、つい想像してしまった。特に彼が持たされているランドセルのうち1個は、シャレにならんほど危ないという悪評が高い。
「たかじん…」は大阪局制作の番組で、大阪京都の上水道の水源である琵琶湖は、若狭湾原発銀座から20キロ圏内である。
ただし私が住んでいる愛知県西部もまた、日本海→若狭湾→近江盆地→関ヶ原→濃尾平野という偏西風の流れに直撃されるのであるが…
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