何かの騒ぎに協奏曲(コンチェルト)または狂想曲(カプリッチョ)をもじって「狂躁曲」と名づけるのはあまりに陳腐だが、とっさにそれ以外思いつかなかった。
新型コロナウイルスのワクチンをめぐって、この2~3日の間に多数の新情報がめぐるましく流れた。他人事として眺めたらまるでスラップスティックギャグのようだが、われわれ日本国民一人一人の健康と生命に直結するイシューなので笑ってはいられない。
時代の記録ということで、リンク集を作ってみた。
まずは前置きとしてこれまでのおさらいを。1月10日付拙記事に、日経新聞電子版のこの記事のリンクを貼った。
一時期、日本は海外製ワクチンの手配では国際的に先行していると言われていたが、 実態は厚生労働省が交渉していたのはファイザー日本法人であり、米国ファイザー本社とは基本合意どまりで契約の締結に至っていなかったとのことだった。
これは去年の8月28日付記事だけど。
新型コロナ: 全国民のワクチン確保、21年前半までに 首相28日表明: 日本経済新聞
いっぽう16日付朝日新聞デジタルの記事によると…
「史上最大」のワクチン戦略打ち出した英国 日本は? :朝日新聞デジタル
世界では、すでに約50カ国で3500万人近くが接種している(14日現在)。
とのこと。日本のワクチン接種の遅れは覆うべくもあるまい。
前置きが長くなるのは私の数多い悪癖の一つだが、海外のワクチン事情は検索すると多数の記事がヒットする。そのうち一つ二つを。
東アジアで日本を上回る新規感染者数1位のインドネシアは、中国シノバック社製ワクチンをハラル認証し、ジョコ大統領が第1号として13日に接種したとのこと。
米国に次ぐ世界2位の感染者を出しているインドでも16日にワクチン接種が始まったそうだが、インドでは自国製と英国アストラゼネカ社製の二種類が用いられているとのこと。
ファイザー社はmRNAワクチンという新規技術を使っているというが、シノバック社は不活化ワクチンという従来技術を使っているとのこと。インド製ワクチンがどんなものかは、ちょっと検索した限りではわからなかった。
上掲記事によると、mRNAワクチンは副作用が未知数だが、不活化ワクチンは「接種しても深刻な症状が現れることはまずない」とのことだ。
ただしmRNAワクチンは90%以上という高い有効率を示すというが、シノバック社のワクチンは治験の中間データとしてトルコでは91.25%、インドネシアでは65.3%、ブラジルでは50.4%というデータが出たという。
インフルエンザワクチンの有効率が60%程度と言われるので、それでも接種する意義はありそうだが、どうなるだろう?
成り行きが注目される。
↑ ギャグのつもりです。いまのどこが面白かったかというと「成り行きが注目される」というのはかつて新聞記事で乱用され過ぎ、「なりちゅう記事」という悪口までが作られ、現在では禁句同然となっている文言である。陳腐という点で「狂躁曲」と似ているかも知れない。「いまのどこが面白かったか」と始めた説明が面白かったためしはありませんねすみません。
いらんことをもう一言。1968年デビュー以来半世紀以上にわたって現役を続けている 弓月光 氏というラブ・コメディの長老的マンガ家がいる。
弓月 先生の初期の代表作の一つに『エリート狂走曲』というのがある。
弓月 先生はツイッタラーでもあり、私が何かの文脈で言及する際にタイトルを『狂躁曲』と誤記したところ、なんとご本人から「『狂走曲』です」というリプをいただいたことがあった。たまげた。
ようやく本題(長げーよ>自分
そんなところへ共同通信社の19日付のこんな短報が飛び込んできた。
前日18日にワクチン担当大臣に就任したばかりの 河野太郎 氏は、この記事を引用して、こんなツイートをされた。FF 外から引用失礼します。
いや、ワクチン担当になって昨日の今日で、まだ想定していない。 https://t.co/ATmE8IAcGA
— 河野太郎 (@konotarogomame) 2021年1月19日
河野 氏はこんなツイートもされていた。
うあー、NHK、勝手にワクチン接種のスケジュールを作らないでくれ。デタラメだぞ。
— 河野太郎 (@konotarogomame) 2021年1月19日
このツイートは 690 もの「はてなブックマーク」を集めるホッテントリとなったが、ブックマークコメントを読んでいくと NHK が報道したスケジュールというのは、どうやら厚生労働省が発表したものらしかった。
NHK の報道というのがどの記事をさしてのことなのか確証はないが、ブコメにはこの記事のURLが貼られていた。
もし 河野 大臣のおっしゃるスケジュールというのが、この表のことだとしたら…
上掲NHK記事より
典拠は厚生労働省が1月15日付で公開した資料
「新型コロナウイルスワクチンの接種体制の構築について」(pdf)
ではないか、とのことであった。
上掲pdf P15 より
河野 氏にはイージスアショア断念を「フェイクニュース」とツイートした前歴があるが、今は措く(措いてない
果たして翌20日に厚労省が発表したファイザー社との正式契約は、新型コロナワクチンを「年内」に供給する、というものであった。
一言言っていいですか?「遅い方に訂正かいっ!?」
それを踏まえてであろうか、共同通信社の短報によると、20日の通常国会の代表質問で、菅総理は「ワクチンを前提としなくても安全安心な大会を開催できるよう準備を進める」と答弁したとのことであった。
またぞろ「切り取りだろう」という擁護ブコメが散見された。
国会答弁は YouTube でいくらでも確認できるのだけど。
菅首相の発言は、共産党の 志位和夫 委員長の質問への答弁の中で出てきたものである。
志位 氏のオリンピックとワクチンに関する質問は、ThePAGE さん公開の動画中では47分~50分頃、菅首相1時間1分~3分あたりである。
今のは関係ない。
どうなるんだろうね、これから。成り行きが注目される。もうええっちゅうの >自分
このエントリーを書きながらチラ見していた私のツイッターのタイムラインに、CNNのこの記事を引用したツイートが流れてきた。英語ソースに当たれる FF さんの引用ツイートである。
"トランプ前大統領はコロナウイルスワクチンの配布計画を作っていなかった。バイデン新大統領はゼロから開始しなければならないとの情報が囁かれている(政府関係筋)" とのことであった。
日本語版の記事はだいたい英語版オリジナルから6時間くらい遅れて発表されるが、この記事の日本語版は出てくるだろうか?
追記:
日本語版来ました。翻訳というより抄訳ですが。
追記おわり
どこの国も政府の対応の混乱は大同小異なのだろうかと思う一方、ファイザー社をお膝元に抱える米国がこんな調子では、日本への供給はさらに遅れるのではという杞憂も頭をもたげる。
成り行きが注目される。くどいけど、ギャグにでもしなきゃやってられるかーっヽ(`Д´)ノ
なおワクチンに関するホッテントリといえば、こんなものもあった。FF 外から引用失礼します。
ワクチンを2倍にしたらワクワクチンチンになるという発言を目にした。
— 仲 高宏 (@naka3ws) 2021年1月20日
それならばチンギス・ハーンが2回攻めてきたらチンチンギスギス・ハーンハーンではないか。
いろいろと危ない。この理論は使用禁止とする。
リプとブコメが大喜利状態で一読の価値ありだが、私はこの引用ツイートが大好きだ。
めっちゃウケたので長男に教えたら『2回攻めてきたのはチンギス・ハーンではなくフビライ』と冷静に指摘され、大人として色々と恥ずかしかった https://t.co/4xhrTkhHdT
— しろたんキャッスル (@CO7rx93) 2021年1月21日
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