🍉しいたげられたしいたけ

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日本語の形容詞のヘンな特徴?「~ない」で終わるものが多い・2音節のものが少ない

久しぶりに まけもけ(id:make_usagi)さんのブログに乗っかります。いつも楽しく読ませてもらっています。

こちらのエントリーに…

www.gw2.biz

 

次のようなブックマークコメントを投入しました。

きたんのある意見 - ぐわぐわ団

屈託のある人と気の置ける場で他愛のある話をするとき忌憚のある意見が出るのではないでしょうか。追記:シャレで書いたけどそんな状況すげーイヤだ!

2022/04/24 22:17

b.hatena.ne.jp

 

そして気づきました。

 

ネット辞書は、普通に逆引き機能が付いているところが多い。

goo辞書さんで "「ない」で終わる言葉" を表示させてみた。

dictionary.goo.ne.jp

全82ページて…(汗

 

"あ‐ない【案内】" "い‐ない【以内】" のような、形容詞でないものも含まれているが、

"たあい‐な・い【他愛無い】" "かい‐な・い【甲斐無い】" は形容詞として、

"ちがい‐な・い【違いない】" は連語として、ちゃんと表示してくれる。当然ながら。

ちなみに "忌憚(きたん)のな・い" 他はここには出ないが、同サイトで検索すると「慣用句・ことわざ」として表示された。

 

ただし全82ページとはいえ有限だから、辛抱強くページをめくれば漏れの少ないリストを作ることはできそうだ。

「収集癖」とカテゴリした過去記事の常とはいえ、このあたりで満足してしまうのが我ながら粘着力ないところ。

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だがなぜ「~ない」で終わる形容詞や連語、慣用句が多いかは、軽くもう一掘りしてみたくなった。

他の言語では、どうなっているんだろう? 英語の場合、否定形でしか用いられない単語というと、とっさには "wouldn't/can't budge"(ぴくりともしない/できない)以外思いつかない。"wouldn't/can't budge" は、過去に拙エントリーにしたことがある。

www.watto.nagoya

 

これも思いつきだが、日本語(やまとことば)の特徴の一つとして、合成語というか複合語というかの際立った多さということがあると思う。

にわとり…(英語)hen (漢字)鶏

みずうみ…(英語)lake (漢字)湖

これもそのうちネタにしたいと思いつつ、いつまでたっても手がつかない。

 

「ない」というのは、形容詞にしては音節が少ないような気がした。

形容詞は活用があるので、造語しようとしたら活用まで作らなければならないのが面倒だ。だが「ない」とくっつければ、その手間がはぶける。動詞に「する」との合成語が多いことも、それで説明がつくんじゃなかろうか。

 

2音節の形容詞は、他に何があったっけ?

五十音(濁点、半濁点含む)と「-い」を片っ端からくっつけてゆけばいい。

いい

うい(愛い/憂い)

こい(濃い)

すい(酸い)

よい

えっ、これだけ??

しかも「愛い」は、時代劇の悪代官か悪徳商人の「うい奴じゃ」という台詞くらいしか使われなさそう。

「憂い」は山上憶良の万葉歌「世の中を憂しとやさしと思へども…」くらい。

「酸い」は「酸いも甘いも噛み分ける」という慣用句以外では「酸っぱい」に取って代わられているのではないだろうか。

 

さらに言えば、「いい」には未然形、連用形、仮定形が作れないという驚くべき性質があるのだ。

検索して上位にヒットした "ことば」について考えよう" さんのブログカードを貼らせていただきます。

fineday2019.com

「×いかろう」「×いかった」(未然)「×いくない」(連用)「×いければ」(仮定)

とは言わないよね。方言では言う地域があるそうだし、ネット語では冗談として使われているかも知れないけど。

 

「△うかろう」「△うかった」は不自然だし、「△すかろう」「△すかった」はただちに「酸っぱかろう」「酸っぱかった」に置き換えたくなる。

「よい」「ない」のような使い擦れのしたものを除いて、音節の少ない形容詞は活用しにくいのだろうか? でも「こい」は普通に活用できるし、謎だ…

追記:

2音節の動詞は、多数存在する。50音と「うくすつぬふむゆるぐずぶ」を組み合わせれば確認できる。

追記おわり

 

文法が語彙を規定するということは、あまり言われないけどあるような気がする。

合成語と言えば、ドイツ語も合成語の多さで有名である。

雨傘…(ドイツ語)Regenschirm、(英語)umbrella

日傘…(ドイツ語)Sonnenschirm、(英語)parasol

Regen は雨、Sonnne は太陽、Schilm は傘である。

 

ドイツ語の場合、名詞には姓と格変化があり、また複数形の作り方が複雑である。それが、おいそれと名詞を増やしたくないというブレーキの効果を果たしているのではないかと想像したくなる。

やまとことばの合成語の多さは、依然として謎だが。

 

さらに言えば、言葉の特徴が国民性にも影響を与えているということが、あるんじゃないだろうか。

例えば英語など印欧語では、数詞がイレギュラーである。英語の 11、12、13 は eleven、twelve、thirteen、フランス語では 90 を quatre-vingt-dix (4×20+10) と言う。 

それだけで、がぜん暗算の困難さが増す。

キャッシャーが普及する以前、欧米で買い物をしたときのお釣りの出し方として、お客が出した紙幣と、商品と小銭を並べて「等価交換」であることを示したというエッセイを、どこかで読んだことがある。1000円札で101円の買い物をするとき、日本流で1円玉を出すと「なんだこれは」とばかりつっ返されることさえあったとか。

アジアの言語は、こういうイレギュラーさとは無縁のことが多い。欧米の店員にアジア系が多いというステロタイプは、ひょっとしたらそのことと結びつきがあるのかも知れない。

逆に数詞のイレギュラーさが、欧米人の数学、数論への興味をかき立てたということも。

もちろん未検証である。

 

未検証ついでに、もしも否定の形容詞が多いことが「出る釘を打つ」「強きを助け弱きをくじく」などと言われる日本人の国民性と結びついているとしたら、嫌だなぁ…

追記:

いただいたブコメで思い出しました。こんな言葉を集めたこともあったのでした。すげーたくさん集まったわけではないけれど。

そうでなくても「~ない」で終わる複合語や慣用句いっぱいあるのに、どんだけ否定型が好きなんだ??

www.watto.nagoya

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