今回は古~いオタク話から始める。
今年の前半は、庵野秀明 監督の『シン・ウルトラマン』と『シン・仮面ライダー』を相次いで観る機会があった。勢いでNHK総合TV地上波で放送された『シン・仮面ライダー』のメイキングのドキュメンタリー特番まで観てしまった。
NHK特番中に、庵野 監督は「究極のオタク」だ、とするスタッフの言葉が出てきた。まさしくそうだと思う。論じたい点は多岐にわたるが、ごくごく一部だけ取り出すと『シン・ウルトラマン』では必殺技のスペシウム光線と変身アイテムのベータカプセルであるとか、『シン・仮面ライダー』では必殺技のライダーキックと搭乗マシンのサイクロン号であるとか、オリジナル作中の「有限な資源」とでも言うべき「設定」を最大限に活用してやろうという意気込みが見て取れた。
それで、またぞろ他人が言ってなさそうなことを言いたくなった。庵野 氏が内心乗り越えるべき目標として設定しているであろうと想像される作品の一つが、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』ではないかという気がした。1978年公開の『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ劇場版第2作である。うう、古い話だ。
この作品が『シン・ウルトラマン』や『シン・仮面ライダー』とどうつながるかというと、まずTVシリーズ版『宇宙戦艦ヤマト』というオリジナルが存在したことだ。製作スタッフが映画版と共通という違いはあるにせよ。
それからオリジナル中の「有限な資源」、この作品の場合、波動砲という必殺技とワープ航法というアイテムを、巧みに使ったという記憶がある。
そしてクライマックスにおけるラスボス「都市帝国」との戦闘が、総力戦であることを描く描写が見事だったと思う。ほんの一例だが、主要な登場人物が次々と落命し最後まで生き残った乗組員が退艦するとき、オリジナルTVシリーズに出てきた救急車に似たデザインの救命艇を使用したこととか。艦載機がすべて失われたことを意味しているのだが、こういう細部に「神が宿る」と思った。
『ヤマト』シリーズは『さらば』が最後というのを食言し次々と新作が製作されたり、その新作の出来があまりよくなかったり、権利争いや製作者のスキャンダルめいた私生活が伝えられたりで、当時のアニメファンたちをドン引きさせるには十分だった。『ファンロード』や『OUT』といった今はなき当時のファン向け雑誌には、『ヤマト』シリーズを手放しで礼賛してはいけないような雰囲気があったように記憶している。ちなみにネットがなかった時代には、ファンたちはそうした雑誌や、あとラジオ深夜放送などで情報の収集・交換をしていた。
だが、かれこれ半世紀近い年月を隔てて思い返すと、『さらば…』はやはり傑作でありファンたちを熱狂させるのにふさわしいものであったように思われる。同作を超える対ラスボス総力戦を描いてやろうと野望を抱いた視聴者は、ぜってー 庵野 氏だけではないはずだ。ぱっと思いつくところではドラクエを作る直前に『OUT』誌でライターをやっていた 堀井雄二 氏とか。
もし 庵野 氏がリメイクシリーズの新作を作るとしたら、『シン・宇宙戦艦ヤマト』か、さもなくば『シン・デビルマン』だろうと妄想している。なんで突然デビルマンが出てくるかと言うと、これも話を始めると長くなるから今はやめておく。
なんで唐突にこんな古~いオタク話を始めたかというと、『超激辛数独1』最終盤に至って、出てくる問題出てくる問題、同書攻略の2大アイテムである「井桁」と「予約」の駆使すなわち総力戦的連続使用&組み合わせ使用を求められるものだったからだ。あたかも波動砲、スペシウム光線、ライダーキックが単独ではラスボスに通用しなかったように(わかったちゅ~の!
ニコリ『超激辛数独1』中最後のP98 91を取り上げた6月17日付拙記事で、できればP96の89、P97の90もブログにしたいと書いた。ラスト91は多重井桁の連続使用で解いた。90は91と似た傾向の問題であった。今回はさかのぼって89をネタにする。先に言っちゃうと「予約」の連続使用が必要だった。難易度はLevel10+、作者は 高由良りむ さん。いつもの通り初期値を背景色黄色で示す。
初等的解法で埋められる空白マスは埋め、埋められないマスには候補の数字をメモ書きする過程において、この問題でも同時進行的に井桁チェックも行った。しかし適用可能な井桁は見つからなかった。
代わりに1~9のメモ書きを尽くした時点で、いくつかの「予約」が見つかった。
まずは次図におけるEhとIhの2と9の2国同盟。この難易度レベルではこれを反映させたくらいでは解決に結びつかないことはわかっているので、自称「候補メモ最後まで残す法」の適用外とする。
次に見つけたのは、IdとIeの5、8裏2国同盟だった。これによりHfとIiに4が確定した。
なお同盟が発覚すると裏同盟が、裏同盟が発覚すると同盟が同時に発覚するが、今回は説明をざっくり省略している。
確定した4が他の未確定マスから消す候補を整理すると、Dg、Eg、Ehの2、4、9裏3国同盟が発覚した。これによりDgの候補から5を除外することもできた。
以上を反映させた状態から「候補メモ最後まで残す法」を適用する。やや恣意的だった気もするが、気にしない。
前々図の結果を受けて、AdとIdには5、8の2国同盟が発覚した。この結果、Bdの候補から5と8を除外した。
さらにこの結果を受けて、左側中段3×3ブロックでAd、Ae、Bfに5、8、9の3国同盟が発覚した。この結果、Beの候補から5、8、9が除外できた。
候補メモから多くの5が消えたので、この段階で5の井桁をチェックしてみた。
Ad、Ae、Id、Ieの行方向単純井桁(X-Wing)が見つかった! 次図にはこの単純井桁と、並存する列方向5連井桁を濃い橙で着色している。後者の説明は省略する。
これらの井桁が5を候補から除外するAbとAcを、薄い橙で着色している。
この結果、Ab、Hbの1、9 2国同盟が発覚した。
それを受けてEb、Eg、Ehの2、4、9 3国同盟が発覚した。
これでもまだ多重選択の連鎖的解消が始まらないのか!?
ならばと、やはり多くの候補が消えた9について、井桁をチェックした。
Eg、Eh、Ig、Ihの列方向井桁が発覚した。次図にはこの井桁と、並存する行方向5連井桁を濃い橙で着色している。
これらの井桁により候補から9を除外できるDgを、薄い橙で着色している。
この結果Da、Deの1、9裏2国同盟が発覚した。図示はしないがこれによりFaに7が確定し、これを手掛かりにようやく、ようやく多重選択の連鎖的解消が始まった!
最終形を示す。Solutions P124と一致している。
恒例となった同ページのヒントとの照合である。
Ab・Hb…1・9予約
Eh・Ih…2・9予約
Dg・Eg・Eh…2・4・9予約
Eb・Eg・Eh…2・4・9予約
9…Eg・Eh→Da・De…1・9予約
1行目は今回7枚目の図と対応しているようだが、同図の5の井桁処理をやらなければ意味不明のように思われるのだけれど、どうだろう?
2行目は2枚目、3行目は4枚目、4行目は9行目に対応していると考えられる。
5行目は10枚目に対応しているようだが、この書き方は過去の例に照らすと井桁ではなく弊ブログのローカル呼称「2の2の3」だ。
中央3×3ブロックに着目すると、上段と中段はE列に9がない。よって下段3×3ブロックの9はE列にしか入れることができず、Dgの候補から9は除外される。すなわちX-Wingを用いたのと同じ結果が得られるのだな。