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【創作】転生したら親鸞だった?(5)第1景【現代編】猪飼家のマンションにて(5/6)

新着お目汚しを避けるため、日付をさかのぼって公開しています。前回はこちら。

watto.hatenablog.com

 

道大「…と言いつつボクもいろいろ考えが変わって、かつては何が何でも新しいギミックを創作に取り入れなきゃと考えていたんですが、パターンを守っていくことも大事なんじゃないかと」

裵「ほう」

道大「きっかけは映画『侍タイムスリッパ―』を、地上波ですけど見たことで…そういえば、あの作品もタイムスリップものでした」

真琴「顔色変わったよね」

道大「そんな大げさな…でも "してやられた!" とは思いました。私は映像業界の関係者ではないので、どのみちああした作品を書くことはできないですけど」

裵「現実の、時代劇や殺陣の衰退への哀惜との2重写し、ということかな?」

真琴「メタ構造、大好きだもんね」

道大「いちいち突っ込まなくてよろしい。そうです。もちろん時代劇を知らなかったわけはないですけど、あれほどまでに愛されていたジャンルだったんだということが胸に迫ってきて」

裵「偉大なるワンパターンか。昔はお茶の間で家族そろってテレビを見ることが定番だった」

真琴「今の子はゲームか動画ですから様変わりですけど」

 

裵「パターンがあるからパターン崩しも成り立つ。『水戸黄門』では、たった一度登場しただけの "一条三位中納言" というゲストキャラが、ネットミームになって各種ネット百科に項目まで設けられている。検索すると1989年の登場だそうだ」

道大「『水戸黄門』に他に例外回がなかったはずないでしょうに、面白いですね」

裵「あれだけの長寿シリーズだ。"にせ黄門" というのは半ば定番化していたし、たしか "助さん欠席回" というのもあったはずだ。それから『かげろう忍法帖』というヘンテコなスピンオフもあった」

真琴「(検索しつつ) 『かげろう忍法帖』は1995年放送ですか。印籠の代わりに黄門さまの直筆書状を出したんですね」

道大「黄門さんの印籠、遠山の金さんの桜吹雪…か。『暴れん坊将軍』の吉宗さんは "余の顔を見忘れたか" でしたけど」

裵「講談の『水戸黄門漫遊記』は江戸時代、歌舞伎『遠山桜天保日記』は明治時代までさかのぼれるという。『暴れん坊将軍』の1978年放送開始というのが、むしろ新しいと感じられるくらいだ。他にこんなことを言っている人はあまり見かけないが、私はギリシャ・ローマ演劇の "デウス・エクス・マキナ" に古形が求められるのではないかとさえ思っている」

真琴「"機械仕掛けの神" ですね。錯綜しきったストーリーに収拾をつけるために、物語の最終盤で宙づりの神様が降りてくるというやつですね」

裵「日本の時代劇の筋づくりに直接的な影響があったかはわからないが、人間の心理にそういう解決方法を求める傾向があるのかも知れない」

 

道大「『暴れん坊将軍』が比較的後発だとしたら、先行シリーズのパターン崩しを狙った部分があるかも知れませんね。主人公が身分を明かしたあとで殺陣があったり。結果として、それが新たなパターンになったにせよ」

裵「私は主人公の ”身分のインフレ” のようなものを感じた。タイトルは思い出せないが "将軍の名代" というキャラが登場する時代劇もあったはずだ。ズバリ将軍が主人公というのは、無理があるとは思ったが斬新ではあった」

道大「さっきの一条三位中納言の回では、光圀が旧知の菊亭左大臣という人物を引っ張り出したんですか。身分の強さを競うカードゲームという見方もできそうですね。そんな展開は、もっとあっても面白そうですが」

裵「主人公が将軍さまだと、そういうことはできないわけか」

道大「また親政を行っている将軍は超多忙のはずで、お忍びで街歩きをする時間的余裕があるはずないですもんね。それを言い出したら町奉行も同じだけど」

真琴「町奉行は、検索すると行政・司法・警察を統括する役職で、現代の自治体首長より幅広い権限を持っていたそうです」

裵「タイムスリップと同じで、突っ込んじゃいけないお約束だな」

(この項つづく)

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追記:

続きです。

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