出立時の空港ではチェックインから離陸まで時間的な余裕があるから、スマホ写真をツイッターに上げたりできたが、目的地のオークランド空港到着時は、手荷物からカメラを出す心理的な余裕がなかった。送迎の業者を待たせていたからだ。それ以外にも、煩雑な入国手続きを頭の中で復習しなければならなかった。基本、人の流れについて行けばいいだけなのだが。
どこの国も、入国ゲートには自国PRのポスターや事物が並んでいるものだが、ここはマオリ伝統文化のちんちん丸出しの巨大な木彫り人形が置いてあったりして面白かったのに、惜しいことをした。
なお、おおざっぱなスケジュールについては、2月28日付拙エントリーに自分用の整理のつもりで書いた。ややこしい話は聞くだけでも大変だが、あえて自分でまとめるとやっぱり役に立った。
送迎業者は「ショアシャトル」という名前だったが、車が日本の温泉旅館のようなマイクロバスだったので、ちょっと和んだ。旅客機の到着が定刻より10分くらい遅れ、1組だけいた先客を待たせることになったので、すまない気がした。
高速と一般道を30分くらい走ってホストファミリー宅着。
ホストマザーは私とほぼ同年配、つまりおばさんだ。“e” 音が “a” 音になる、いわゆるオージーイングリッシュ使いで、最初面くらった。
しかしこの人が、めっちゃいい人だった。
家のカギと一緒に、現地の交通系カードである “AT HOPカード” (エーティー・ホップ・カードと発音する)を貸してくれたり、2日目のことになるが「過去に迷った留学生がいる」とのことでスクールまで案内してくれたり、とにかく至れり尽くせりで、滞在中、不安を感じることがほとんどなかった。本当に感謝以外にない。
ひんぱんに留学生を受け入れているお宅だそうで、私と同時期にステイする学生はいなかったが、翌週からは日本からの別の学生と、ブラジルからの学生が来る予定とのことだった。
ホストマザーは猫を三匹飼っていて、週に何度か遊びに来るという男性パートナーさんはボクサー犬を飼っているとの連絡を、留学あっせん業者から事前に受けていた。彼らから嫌われないかが心配だったが、果たしてみな人見知りせず超フレンドリーだった。飼い主からの愛情を、たっぷり受けているからだろう。彼らについては、また後で書くと思う。
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翌朝、ホストマザーの案内で現地スクールに初登校。幸い受付スタッフの英語もオリエンテーション時の講師の英語も、とても聞き取りやすいものだった。
スクール受付では、パスポートと海外保険証の提示を求められた。オリエンテーションでは、まず「欠席するな、遅刻するな」ということを求められた。欠席、遅刻の回数が重なると、滞在ビザに影響することがあるそうだ。
あとで知ったことだが、ニュージーランドは外国人に対する英語教育を国策というか主要産業の一つくらいに位置付けているらしいのだ。スクール、ホストファミリー、海外の留学あっせん業者、それに送迎業者などの連携が、しっかりしているらしいことが感じ取られた。
それから困ったときや万が一のことがあったときの連絡先が提示された。
海外では個人主義、自己責任とよく言われるが、一方でその個人主義や自己責任を支えるための仕組みも整っているように思われた。未熟な若者をいきなり世間に放り出して、やれ個人主義だやれ自己責任だと称するのは、やはりどこかおかしいというか、社会の側がその責任を放棄しているのではないかと感じられる。
ほんの短い滞在期間に感じたことなので、間違っているかも知れないが。
若者といえば、予想したことだが他の生徒は20代か30代の若い人ばかりだった。現地スクールは毎週月曜日に新しい生徒を受け入れているとのことで、一緒にオリエンテーションを受けたのは9人だった。国籍は日本が私を含めて3人、あとは中国からとブラジルから、それからどこだったっけ? 在校生70名ほどの小規模なスクールとは言え、校長直々のオリエンテーションだった。
私以外の日本人のうち一人が、大阪から来たという若い男で、こいつがやたらとテンション高い奴だった。私が教室に入っていくと、初対面にもかかわらず、いきなり「あなたは誰だ?」みたいなことを訊く。「生徒だ」と答えると、「えーっ、俺の父親くらいの歳だ」などと抜かす。こういうのは一般的に失礼というんじゃないか? 言わなかったけど。
そいつは受付に提出する海外保険証を忘れたり、あとカウンセリング後に同年代の他の生徒を捕まえて「俺の名前を覚えているか? 言ってみろ。違う、もう一度! え、お前の名前? 忘れた」みたいな会話をしていた。いいのかこいつ? 私が心配したって仕方ないけど。
心配したって仕方ないと言えば、ブラジルから来たという男性生徒は、見るからに英語ができなくて、そばで聞いていても「えっ、こんな簡単な受け答えもできないの?」と思わざるを得ないようなレベルだった。どんな学生でも受け入れるのがニュージーランドの国策なのだろう。
オリエンテーション後にはペーパーテストと面接によるクラス分けがあった。全部で6段階で、9人のうち私一人だけがスキル高い方から2番目に割り振られた。ちなみに一番スキル高いクラスは開講されなかったようだ。私は無駄にテストの点だけはいいタイプなので、こういうことが、よくある。
大阪から来た学生や、ブラジルから来た学生とは、別のクラスになった。正直内心ほっとしたと告白せざるを得ない。あとはNZ国策に任せた!
ただし安堵が早すぎたことは、翌日に本格的なレッスンが始まると判明した…てことで以下次号。
オリエンテーションは午後1時に終わった。ブレークを挟んでアクティビティというのがあるが、初日はまだない。
時差4時間とは言え時差ボケがちょっとキツかったので、早々にホストファミリー宅に帰って少し休もうと思った。
ようやくカメラを取り出す余裕が出た。
スクールからの最寄り駅。ブリトマート駅という。オークランド市街ほぼ中央にある終着駅である。
電光掲示板。4路線ある。
地下駅なので、ホームがちょっとした壮観だった。
改札の使い方は日本の交通系カードと同じだった。HOPカードをタッチすればよい。
車内の様子。午後2時くらいだったかな。ガラガラ。ただし朝のラッシュ時でも、シートこそ全部埋まるものの、日本のようなぎゅうぎゅう詰めにはならない。
車窓その1。オークランドのランドマークであるスカイタワーの先端が、左のほうにちょっと見えている。
車窓その2。スカイタワーが大きく見える。
50分ほど乗車すると、ホストファミリー宅の最寄り駅であるグレンエデンという駅に着く。
グレンエデン駅のホームと跨線橋。
ホームを降りた進行方向左手のスーパーマーケット。
同じスーパーマーケットを、跨線橋の上から撮ってみた。
ホストファミリー宅は、駅から歩いて約5分。交通至便のところにある。
よそのお宅の庭に咲いていた名も知らぬ木花。ミツバチがいっぱい集まっていた。
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