🍉しいたげられたしいたけ

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読書

ふたたびスマリヤン『この本の名は?』について。あるいはブログ記事の情報量は書籍のそれには足元にも及ばぬということ

3月26日 のエントリーには、それ以前のエントリーにもまして多くのアクセスとブックマークをいただき感謝しています。ありがとうございました。 しかしアクセスとぶくまが多いがゆえに、返ってエントリーの内容が貧弱なことに後ろめたさを感じました。同エン…

わがシバキ読書法(ただし全部実行はぜってー無理

きっかけは、こちらのエントリーです。 www.xn--n8jvce0l6c.com 年間1000冊か~、すごいなと思いつつ、積ん読本と「あとで読む」タグばかりが増えてゆく現状で、もし一日3冊のペースで本が読めたら多少は状況が改善するかななどと夢想した。 しかし世の中に…

プラトンの『饗宴』と仏典『法華経』の構造が似てるんじゃないかと思っている

1月12日のエントリー に、オチが同じじゃないかと思っているフィクションを何組か挙げた。ちょっと昔のエントリーだが、2008年1月27日のエントリー には、源信『往生要集』の構造がダンテ『神曲』と似ていると言われることの他に、仏典『観無量寿経』の構造…

三島由紀夫はなぜ『卵』を好んだか?

「謎解き日本のヒーロー・中国のヒーロー(追加ヒーロー4・完結)」で、「眉間尺の物語がそっくりなのは伍子胥〔ごししょ〕ではなく荊軻〔けいか〕の物語でしょう」ということを書きました。それをきっかけに、やはりパソコン通信の時代に、三島由紀夫の『…

ドイツ中央党というのはバイエルンなどドイツ南部のカトリック勢力を代表する政党なのか

自分用メモです。はるか昔の大学時代、ナチス前夜のワイマール共和国史を学んだとき、主要政党の一つとして中央党というのがよく出てきた。首相を出したこともある。どんな政党なのかちょっと気になったが、調べようという気にはならなかった。 坂井榮八郎『…

『にぎやかな食卓』を読んだら詩人のことばのセンスに驚愕した

はてなブログ「TigerAceの不安倶楽部」の id:tigerace1943 さんの新著が出たので読んでみた。 例によって結論を先に書く。詩人と呼ばれる人のことばの選び方には、常人の考えの及びもつかぬものがあるらしいと感じた。そしてそれを言語で説明するのは、今の…

沢木耕太郎『春に散る』@朝日朝刊2015年7月2日掲載91回まで読んだ段階での予言

「真拳ジム四天王」と呼ばれた四人のうち、藤原という作中人物は、甲府の刑務所に入っていた。 残り二人のうち一人、すなわちこれから登場する佐瀬という人物は、著しく健康を害しているんだろ? そして最後の一人は、すでにこの世にいないんだろ?春に散る …

沢木耕太郎『春に散る』@朝日朝刊2015年6月8日掲載68回より

主人公・広岡の得意技は「左のクロス・カウンター」! http://www.asahi.com/articles/ASH615DL6H61UCVL022.html (無料ログイン要) やりすぎやろ! いや、いいぞもっとやれ! 何のことかわかんない人は https://watto.hatenablog.com/entry/20150512/p1 参…

沢木耕太郎『春に散る』は、ひょっとしてそれからの『あしたのジョー』なんじゃね?

ブログタイトルが今回のエントリーの結論です。こういうことを、よくやる。 新聞の連載小説を読む習慣がある。気づいたら5本、並行して読んでいる。新聞小説って読書タグでいいのかな? 自分で決めればいいだけだが。 新聞小説は、朝日新聞の朝刊に連載され…

夏目漱石の「よくってよ。知らないわ」

私が『それから』を通読したのは、わりと最近のことだ。 初めの方の第三章で、主人公・長井代助の家族が紹介される。そのうちの十二歳になる姪の縫について、次のような文章がある。 縫という娘は、何か云うと、好くってよ、知らないわと答える。そうして日…

短いマイ書評を2件

たまたま2冊とも幻冬舎文庫だが、それ以外に特に共通点はない。同時期に前後して手に取っただけだ。わたしの旅に何をする。 (幻冬舎文庫)作者: 宮田珠己出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/06/01メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 31回この商品を含むブ…

井上ひさし『イヌの仇討』(文藝春秋)

朝日新聞の夕刊に三谷幸喜が『ありふれた生活』というエッセイを連載している。 先週の掲載分に、伊東四朗の喜寿を祝って、伊東本人の希望に沿って吉良上野介を主人公とするホンを書こうとしたという話を書いていた。調べたらネットでも読めるようです。ただ…

梅棹忠夫『知的生産の技術』の胸が苦しくなるような記述について

少し前に梅棹忠夫『知的生産の技術』(岩波新書)が、「はてな」界隈で話題になったことがある。1969年に初版が出たロングセラーだ。確かに繰り返し読むべき名著に間違いないと思う。しかしそれだけでなく、半世紀近い昔から今日の我々に、様々な問題を投げ…

一坂太郎『高杉晋作』(文春新書)を読み返した

読書日記が長く中断している。年を取って活字を読むスピードが著しく遅くなっていることと、一度読んだ本を読み返すことが増えているためだ。 だけど検索できるというメリットがあるので、ブログには残しておいた方がいいと感じることが、たびたびあった。だ…

アマゾンマーケットプレイスで裁断済み書籍というのが売られていたので

買ってみた。 文庫だがちょっくら食指の動くタイトルがあったので検索したら、中古品の安いのがまだ出回っていなかった。 新品を買えばいいようなものだが、その版元は、日本を代表する出版社の一つであるにもかかわらず、個人的にはそこのやる装丁とかがい…

司馬遼太郎は司馬遷『史記』を読んでいない?

下記ホッテントリがきっかけです。特に後者にはブックマークコメントを付けましたが、今回ばかりはブコメ100字制限内にはとても収まらなかったので、ブログエントリーにしました。ただし私のブコメはいつも元記事から斜め下つーか斜め後ろつーかに脱線する傾…

訃報・殊能将之氏

しばらくマイ書評を書いていないが、実は先月、仕事がちょっと暇になった時に『ハサミ男 (講談社ノベルス)』を読んでハマり、講談社ノベルズを3~4冊イッキ読みしたところだったのだ。 まだまだこれからの人だったのに…心からお悔やみを申し上げます。 ハサ…

鎌田茂雄『観音のきた道』(講談社現代新書)

観音のきた道 (講談社現代新書)作者: 鎌田茂雄出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/02メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る観世音菩薩(観自在菩薩)の来歴を仏典までさかのぼり、朝鮮半島・中国・チベット・台湾・シンガポール…

蔵前仁一『沈没日記』(旅行人)

沈没日記作者: 蔵前仁一出版社/メーカー: 旅行人発売日: 1996/03/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る著者の造語「沈没」すなわち「旅行者が逗留先に長期駐在して動かなくなること」は、鴻上尚史の『スナフキンの手紙』で知…

橋本省二『質量はどのように生まれるのか―素粒子物理最大のミステリーに迫る』(講談社ブルーバックス)

質量はどのように生まれるのか―素粒子物理最大のミステリーに迫る (ブルーバックス)作者: 橋本省二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/04/21メディア: 新書購入: 8人 クリック: 357回この商品を含むブログ (17件) を見るヒッグス粒子のことを知りたいと思…

橋爪大三郎、大澤真幸『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書)

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)作者: 橋爪大三郎,大澤真幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/05/18メディア: 新書購入: 11人 クリック: 184回この商品を含むブログ (138件) を見るキリスト教のことをちょっと復習したいなと思って、読んでみた。確…

徳善義和『マルティン・ルター―ことばに生きた改革者』(岩波新書)

マルティン・ルター――ことばに生きた改革者 (岩波新書)作者: 徳善義和出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/06/21メディア: 新書購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (10件) を見る印象深かったのは、ルターの信仰のかたちを決定づけたという「…

大栗博司『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』(幻冬舎新書)

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)作者: 大栗博司出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2012/05/29メディア: 新書購入: 4人 クリック: 196回この商品を含むブログ (63件) を見るタイトルからすると「ついに発見!?」と最…

ジョン・ダービーシャー、(訳)松浦俊輔『代数に惹かれた数学者たち』(日経BP社)

代数に惹かれた数学者たち作者: ジョン・ダービーシャー,松浦俊輔出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2008/04/03メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 60回この商品を含むブログ (14件) を見る『天才ガロアの発想力 ?対称性と群が明かす方程式の秘密? (tanQブ…

ブライアン・ヘイズ、(訳)冨永星『ベッドルームで群論を―数学的思考の愉しみ方』(みすず書房)

ベッドルームで群論を――数学的思考の愉しみ方作者: ブライアン・ヘイズ,冨永星出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2010/09/11メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 70回この商品を含むブログ (36件) を見るガロア理論の概説書を何冊か読んで、なんとなくわ…

歴史書を何冊か

吉村貞司『日野富子―闘う女の肖像 (中公新書 (771))』 永原慶二『日本の歴史〈10〉下克上の時代 (中公文庫)』 杉山博『日本の歴史〈11〉戦国大名 (中公文庫)』 『日野富子』を処分するつもりで(つまりScanSnapで電子化するつもりで)読んでしまおうと思った…

朝日新聞特別報道部『プロメテウスの罠: 明かされなかった福島原発事故の真実』(学研パブリッシング)

プロメテウスの罠―明かされなかった福島原発事故の真実作者: 朝日新聞特別報道部出版社/メーカー: 学研パブリッシング発売日: 2012/03/01メディア: 単行本購入: 17人 クリック: 200回この商品を含むブログ (1件) を見るこれも読んだのは少し前だけど、前回の…

仏教というものの捉えどころのなさについて

龍樹 (講談社学術文庫)作者: 中村元出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/06/10メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 81回この商品を含むブログ (46件) を見る中村元『龍樹 (講談社学術文庫)』 へのマイ書評です。マイ書評は完読した書籍を対象としたいという…

末木文美士『日本仏教史―思想史としてのアプローチ』(新潮文庫)

日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)作者: 末木文美士出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1996/09/02メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 99回この商品を含むブログ (57件) を見る現代仏教学の大家をつかまえて不遜な物言いだが、この著者の問いの…

白戸圭一『ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄』(東洋経済新報社)

ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄作者: 白戸圭一出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2009/07/31メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 99回この商品を含むブログ (28件) を見る同じ著者の『日本人のためのアフリカ入門 (ちくま新書)』がとても…